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シンポジストプロフィール(2003年6月現在、敬称略)
橋本 操 日本ALS協会 会長

シンポジウム 要旨
1. ALS(筋萎縮性側索硬化症)の症状
一般的には3年〜5年で呼吸ができなくなり死に至るといわれています。しかし個体差は大きく、死に至る経過は様々です。
例えば私がALSを自覚したのは、右手第2指の異常で、その後2年の間に、肩、脚、首、声を失い、発症から7年後には呼吸までもできなくなって人工呼吸器装着、18年目の今を生きています。
文章にしてしまうと、ほんの数行の18年間ですが多くの悲哀と苦楽に満ちた18年であった事をご理解頂ければ嬉しく思います。

2. ALSの苦悩と希望
人として生まれ、生きる中で全ての人が苦悩し、少しの希望を糧に生きている事は知っていますが、ALS患者となった瞬間から多くの場合、一生分の苦悩が圧縮されて患者を押し潰すのではないかと考えます。
ALSは、告知された時点で漆黒の闇に落ちる事になるのです。わかりやすく言えば、言葉としての「死」が、現実のものとして常に患者を包んでいる状態です。
少し時間が過ぎると周囲が見えて、どんなに些細なニュースでも大きな希望に変わり、希望と巡り会えた人だけが、前向きに暮らせるのです。

3. ALS協会の活動とその意義
17年前、故松岡事務局長に言われた「大丈夫ですよ橋本さん、だいじょうぶ」の一言が、私と日本ALS協会の最初の接点です。ALS協会の活動の原点は、案外その部分にあると思えます。松本茂名誉会長は、患者は家族だといわれました。
年齢も生活環境も違う人間同士のつながりが、ALSによって、線となり面となって、全国の患者を包んで守る。これが内部に向けた協会活動であると理解しています。
反面、外部に向けても多くの社会的な活動をしていて、ALS基金による研究助成や国際会議招致に関する活動は、大変意義深いと考えます。

4. ゲノム解析に期待すること
告知を受けたときに、順天堂大学にいらした佐藤猛先生は、「原因究明は砂漠の砂を一粒ずつ調べているようなものだが、確実に前進しているから」と仰られましたが、先般、中村教授よりゲノム解析の講演を拝聴し、私は心躍る思いで【砂漠の砂だ】と素直に感動しました。残念ながら私自身のALSが治るとは思っていません。でも、恒久的に出現するALS患者の為に何かをしたい気持ちはありますし、多くの患者が同じ気持ちでいます。
ゲノム解析はALS患者にとっては、大きな希望であると考えます。

5. 原因究明と治療法確立への願い
発病以来18年、せめて原因を見極めてから死にたいものだと、日頃から願っています。これは全く個人的な問題ですが、自分が何故死ななければならないのかを、知る権利はあるのではないのでしょうか?一日も早い原因究明を切望します。
また、治療法の確立を国を挙げて取り組んで頂きたい。
知人は19才で人工呼吸器を装着し、その母親はまだ40代です。会う度に、「この方のお元気な内にY君が治ってくれると良いのに」と思いますし、治療法の確立は全ての患者の切なる願いです。
 
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