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シンポジストプロフィール(2003年8月現在、敬称略) |
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シンポジウム要旨 |
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私が腎臓を患ったのは18年前になります。突然の頭痛で病院に運ばれた時に慢性腎炎であることがわかりました。この時点で薬の内服を始めましたが、副作用のために治療を続けることができませんでした。結局これといった有効な治療法が無いまま少しずつ病気が進み、2年後には腎臓の働きが低下したため血液透析の開始を余儀なくされました。
当時の透析はたくさんの薬を飲み、厳しい食事制限・水分制限を行いながら1週間に3回病院に通い、1回に3時間から4時間の透析治療を受けることを繰り返し行っていくもので、非常につらくストレスのかかる毎日でした。このような透析生活を一生送らなければならない状況でしたが、幸いにも父親から腎臓の提供を受ける幸運に恵まれ、生体腎移植を受けることができました。
移植後、数回にわたる拒絶反応を経験しましたが、先生方の懸命な治療によりその都度乗り越えることができました。12年たった現在も透析を行うことなく、元気に普通の生活を送っています。
腎移植は、透析生活から開放されるという点で、その恩恵は計り知れないものがありますが、一方で移植後は拒絶反応を防ぐために数種類の免疫抑制剤を毎日内服する必要があります。
一見普通に暮らしているようでも、「拒絶反応が起きるのではないか」、「長期に薬を内服することで副作用が起きないか」、などの不安を常にかかえながら生活していることも事実です。
私は、移植後12年間一日も欠かさず免疫抑制剤を飲んでいます。副作用の不安から「この薬を飲まなくて済むのなら」と思うこともありますが、拒絶反応を抑えるために飲み続けなければならないのです。
このような経験から、私は何か誰かの役に立ちたいと思うようになりました。現在、私は岩手腎臓移植者の会「あいの会」の事務局を担当しています。会員は50名です。移植者と先生方・看護士さんとの交流、親睦を深め、移植医療の推進・普及活動を行っています。
このような活動の中で、ゲノム解析やオーダーメイド医療のお話を伺う機会に恵まれ、今回このような形で市民講座に参加する事となった次第です。
実際、移植者の中でも、同じお薬を飲んでいるのに、拒絶反応を起こす人、副作用を起こす人がいて、一方でそのようなことが全く起きない人もいます。「薬の反応性というものは人それぞれで異なるものなのだ」ということは身近な事として実感してきました。そして、この事が「この薬は本当に私に合っているのだろうか」というような漠然とした薬に対する不安の原因となっているように思います。
私自身、薬の副作用のため腎不全の治療が行えず、有効な手立てがないままに腎不全が進んでしまったというつらい経験があります。
オーダーメイド医療により個々の薬に対する反応性に合わせた効率的な薬の選択や量の調整が可能となれば、このような状況も取り除かれていくのだろうと思います。実際このプロジェクトが進めばこのような医療はもうすぐ目の前の現実となってくるであろうと大きな期待を寄せています。
一方で、ゲノム解析により腎不全の原因究明と有効な治療法の確立がなされることにも大きな期待を寄せています。現在は、腎不全と診断されと遅かれ早かれ透析が必要になります。つまり、根本的な治療法が無いのです。私は幸い移植を受ける機会に恵まれ透析から開放されましたが、日本では毎年約3万人の人が透析に導入となり、全体で約22万人の方が透析を受けながら生きているというのが現実です。
私も年々増加している腎不全の人の為に何かをしたいと思いますし、多くの患者さんが同じ気持ちでいます。ゲノム解析は腎不全患者にとっては、大きな希望であるといえます。
また、腎臓病だけでなく治療法の無い他の慢性疾患の患者さんにとっても同じことが言えるのだと思います。
個人の遺伝子情報が解析されるということに対しての不安、様々な差別が起こるのではないかという危険性などは、私も感じるところではあります。しかし、このプロジェクトはあくまでも個人の情報に応じた医療を実現するためのものであり、遺伝情報を厳正に管理し、起こりうる危険性を回避するシステムが整っていれば問題は無いと思います。なによりも私たちがオーダーメイド医療に協力することで、多くの人たちの病気の治療に直接的に貢献できるという事は素晴らしいことだと思います。
このようなオーダーメイド医療プロジェクトを進めていくためには、多くの人と協力なしには成り立ちません。私が移植を受けることができたのも、医学の進歩の中で様々な方々の協力があったからだと思います。同じ病気で苦しんでいる人、またそうでない人も、将来自分たちのお子さん・お孫さんが病気に苦しむことの無いようにするために、是非、皆さんのこのプロジェトに対する御理解と御協力をお願い申し上げます。 |
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