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基調講演「ひとりひとりの体質に応じたオーダーメイド医療とバイオバンクジャパン」

拡大画像 最後に遺伝子研究の影の部分の話をしたいと思います。今まで私が申し上げてきたことは、全て光の部分です。病気の原因を見つけて、新しく薬を作る。それから病気のリスクを知ることによって病気を予防する、あるいは薬を効果的に使うとか、副作用を避けるというような、遺伝子の情報を利用することによってわれわれが得るであろう光の部分を申し上げてまいりました。しかし、遺伝子情報には影の部分もあります。生命保険に入る際に不利益を得る、あるいは社会差別、就職や結婚の差別につながるかもしれないという危惧を、多くの方が持っておられます。私はこういうことが絶対におこらないとは言いませんが、私たちが得られる光の部分と、わたしたちが失うかもしれない影の部分を冷静に考えながら、このようなプロジェクトを進めていく必要があると考えております。
拡大画像 私たち研究者は、当然ながら影を作らないように最大限の努力を払っておりますけれども、社会全体として光を大きくして、影を最小限にするという努力が必要です。これは私個人の考えであるとしてお聞きいただきたいのですが、このような研究を進めていくためには、法律の整備が必要と考えています。遺伝子を悪用するということに対して厳罰をもって処すという抑止力が必要だと思いますし、保険に加入する際に、このような遺伝子情報で差別しないというような取り決めが必要だと思っています。米国ではクリントン前大統領が、「何人も遺伝子をもって差別してはならない」という宣言をしております。わが国も、そのような対策が必要だと思います。
それから、教育の問題が大事だと思います。別に遺伝子差別に限らず、いろいろな差別がわれわれの社会では存在します。私が申し上げたいのは、遺伝子が差別を生むという考え方は間違っているということです。差別を生んでいるのは人の心であり、私たちは不当な差別を防ぐ、避けることを、教育の場できっちりと教えていく必要があります。その一環として私が申し上げたいのは、私たちは「みんな同じだから平等だ」とことを学校で教わっていますが、私は遺伝子の多様性というものを通してそれが間違っていることを皆さんに申し上げたいと思います。
拡大画像 本来、先程言いましたようにわれわれの生命の設計図は300万ヶ所から1,000万ヶ所も違います。われわれ人類というのは、それだけいろんな違いを持っているわけです。したがって、本来は、「違っていても平等であるべき」という考え方が必要であり、それを教育の場に取り入れていくことからスタートしない限り、差別というものは防げないと思います。私たちは、違っていることを認め合い、かつお互いにそれぞれの尊厳を認め合うという教育をすべきであると思いますし、遺伝子の多様性というのは、科学的にわれわれが違っているということを教えてくれるわけです。ぜひ皆さんにもそれをわかっていただきたいと思います。
拡大画像 それからもう一点、これは読売新聞の後援でやっておりますので語弊がありますが、多くの場でわたしたち研究者はこの図のような形でマスコミに取り上げられます。最近の多くの医療過誤・医療ミスが報道され、それらを見ると責められても仕方がない反面はありますが、けっして多くの医者がそういうものではないし、多くの研究者がそういういい加減なものではないということを、皆さんにぜひ知っていただきたいと思います。一部不埒者がいることは否定しませんが、多くの方は、本当に医療をよくしよう、患者さんを治そうと日夜努力しておられます。私たちが皆さんに申し上げたいのは、このプロジェクトは、患者さんと、医療に従事しておられる方と、われわれ研究者が連合軍を組まない限りできないことであります。連合軍を組んで病気と闘うことを通して、今、病で苦しんでおられる方に治療法を開発する、あるいは、副作用で苦しむことを避ける方法を見つける形で、医療を発展させていきたいと考えています。
拡大画像 これは最後のスライドです。このプロジェクトのキャッチコピーは、「未来につなぐあなたのきもち」です。私たちの子孫のために、あるいは同じ病気で苦しんでいる人のために、ぜひとも皆さんの協力をいただいて、よりよい医療の実現化を行いたいと考えておりますし、そのためには、皆さんの絶大なるご理解とご支援をいただきたいと考えております。「未来につなぐあなたのきもち」を生かしていただいて、ぜひともわたしどもに協力を賜りたく、この場を借りて改めてお願いしたく存じます。
拡大画像 ここに示したホームページを通しまして、私たちの活動は全てオープンにしておりますので、皆さん、ぜひこれをご覧になって、私たちがどのようにこのプロジェクトに取り組んでいるかをご理解いただきたいと思います。どうも、ご清聴ありがとうございました。


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オーダーメイド医療実現化プロジェクト事務局
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