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基調講演「ひとりひとりの体質に応じたオーダーメイド医療とバイオバンクジャパン」

   
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東京大学の中村でございます。たくさんの方にお集まりいただきましてありがとうございます。恐らく多くの方は期待と不安を持ちながらこの場にお集まりいただいていると思います。これからこのプロジェクトの責任者として、私たちがどういうところを目指そうとしているのか、また現在の医学はどういう形で進んでいるのかという事をご説明します。また、私たちがプロジェクトを進めるにあたって個人情報の保護に対してどういう配慮をしているのかについてご説明するとともに、私個人が遺伝子差別という問題に関してどのように考えているか、という点についてもお話させていただきたいと思います。
   
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このプロジェクトは先ほどから紹介がありましたように文部科学省のリーディング・プロジェクトとして始まりました。「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト」がその正式な名称ですが、私たちの目指すところを的確に表す言葉として、「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」というプロジェクト名を用いております。このプロジェクトの目指すところは、これからお話いたしますが、時間があれば後日プロジェクトのホームページをご覧いただきたいと思います。本日はその要点をご紹介いたします。
   
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小山総長からお話がありましたように、未だに原因がわかってない疾患はたくさんあります。根本的な治療法がなく、患者さんにとってはその病名を宣告された日から、自分が死ぬことだけを考えるというような非常に重い疾患もあります。このプロジェクトのゴールの一つはそのような病気も含め、複雑な病気の原因を解明して薬を開発する手がかりとなるような情報を提供することです。
   
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今や薬の開発や病気の診断は、病気の根本原因(科学的エビデンス)に根ざしてピンポイントで薬を開発していく、あるいはピンポイントで診断していくという時代になりつつあります。そのような基盤となるような情報を提供していきたいというのが私の一つの願いであります。
   
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もう一点は、のちほど詳細にご説明いたしますが、薬が効く場合、効かない場合、強く副作用が出る場合など、個人個人の薬に対する反応性はいったいどういうところに由来するのか。それを突き止めて、この薬を使えば効き、この薬を使えば絶対に副作用がないという医療体系を作り上げたいと願っております。
   
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それからこれはもっと遠い先になると思いますが、病気になりやすいということがわかれば当然個人個人がいろいろな自分のライフスタイル、あるいは食生活などに気をつけて病気を防ぐことができるようになると考えています。日本の場合は先進国の中でも非常に高齢化が進んでいますので、ただ単に長生きするというのではなく、健康に長生きするという観点からも、病気を予防する、あるいは病気の重症化を防ぐということは重要です。私たちはそのような医療を展開するための基盤の研究資材、あるいは基盤の情報を集めたいと考えています。
   
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このような研究をするようになった経緯の一つとして、ゲノム研究の進展というものがあります。日本ではこの言葉がなかなか社会には登場しませんでしたが、20年ぐらい前からアメリカではゲノム研究が重要視されておりました。ゲノムというのは生命の設計図に相当するもので、ヒトにはヒトの設計図、イヌにはイヌの設計図、ブタにはブタの設計図があり、それぞれのゲノムに応じてそれぞれの形が作られます。ヒトの場合24種類の染色体というパッケージになった形でゲノムを見ることができます。このゲノム情報の化学的な物質名がDNA、デオキシリボ核酸というものです。
私たちのゲノムはA、G、C、Tという四つの暗号文字だけでできています。この暗号文字が30億つながってわれわれのゲノム、生命の設計図を形作っております。この30億文字は配列に関してはほぼ全容が今年2003年の4月には明らかになっております。しかしながら、それでゲノムがすべてわかったのか、生命の設計図がすべて読み解かれたのかというとそうではありません。いろいろな形で社会に役立つ形に結び付けてゆくには、医療へ、あるいは生物学へと情報が利用されていく必要があるのです。病気の原因を解明する研究は、これまでの世界のゲノム研究の成果を実際の医療に役立てることにつながります。病気の原因を解明する上で一つの重要な情報となるのが、300万から1000万カ所個人個人間で違っている遺伝暗号です。30億の遺伝暗号から出来ている私たちのゲノムうち0.1から0.3%程度は個人間で違いがあり、この違いをスニップ(SNPs)と呼びますが、われわれが研究をしていく上で重要な手がかりとなっております。

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