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基調講演「ひとりひとりの体質に応じたオーダーメイド医療とバイオバンクジャパン」

   
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これは何とかできないか。自分、自分の親、あるいは自分の子供がこの治療法を受けたときに、ほぼ100%の確率で元気になるのか、あるいは副作用で苦しむだけで終わってしまうのかということを、可能なかぎり高い精度で患者さんに提供できないかということで次にお話しするようなチャレンジをしました。

   
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ある薬の例をもとに紹介します。これは昨年日本で認可されたイレッサという薬です。この薬は、このレントゲンで示すように効く人には驚くほどよく効きます。ご覧になって明らかなように左側の写真の左側(右の肺)は真っ白です。これはがん細胞に加えて痰も一杯たまっているからで、この患者さんは痰を1日に500ccも600ccも排出していました。ところが、わずか14錠薬を飲んだあと2週間後には右側の写真のようにきれいになりました。右の肺のがんの塊は見事に消えています。しかしながら、この薬は実際には3割ぐらいの患者さんにしか効きませんし、非常に高価です。それから新聞各紙が書き立てたように、非常に強い副作用があるという問題点があります。
   
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私たちは薬の効く効かないをなんとか遺伝子のレベルで解決したいということで、今は色を使って遺伝子の働きを見ております。
ここに小さな点が、黒いのも含めて384個あります。点の一つ一つが遺伝子というものです。タンパク質を作る単位です。この方法では色によって、この遺伝子がタンパク質をたくさん作っているか、あまり作っていないかを知ることができます。
二人の大腸がん患者、二人の脳腫瘍患者のパターンを比べてみますと、大腸がんと脳腫瘍では全然違いますが、大腸がん同士、脳腫瘍同士はぱっと目には非常によく似ています。では、大腸がんのパターンはみな同じかというとそうではなくて、大腸がんの二人のパターンをよくよく見ると、ある程度の違いがあります。右下の枠で囲ったパターンは、二人のパターンが同じだった色を全部黒く消したもので、2人の違っている部分が残っています。 左のCol5で示した患者さんAでは赤い点が右のCol8で示した患者さんBでは黄色になっているというように微妙に色が違う。すなわち、遺伝子の働きがAさんの大腸がんとBさんにの大腸がんとは微妙に違うということがわかります。
   
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この遺伝子の働きの違いが、薬の効く、効かない、あるいは放射線治療をしたときの効く、効かないに関係しているのではないかということで、患者さんに協力を得て調べました。その結果、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんのうち効いた人は特定の点(遺伝子)が赤か黄色、効かなかった人は同じ点が緑ということがわかりました。また違う遺伝子の働きを見ると、効いた人は緑か黄色だったのに効かなかった人は赤でした。このことから、明らかにこれらの遺伝子の働き具合と薬が効いた効かなかったという結果に関係がありそうだとわかりました。
   
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範囲を拡大して、私たちの体が持っている遺伝子の80%、約28,000種類を調べると、12種類、こういうように典型的な違いを示す遺伝子が見つかりました。これらの遺伝子の情報を元にAさんのがん、Bさんのがん、Cさんのがんとそれぞれのがんを点数化しますとこの図のように、効いた人は非常に高いプラスの点数、効かなかった人はマイナスの点数を示し、効く効かないをわずか12種類の遺伝子の働きで判別できるという答えを得ました。
このようなシステムの有効性を別の4人の患者さんに協力していただいてテストしたところ、やはりプラスであった方には効き、マイナスであった3人の方には効かないという予測どおりの結果を得ました。 現在さらに多くの患者さんの協力を得て本当にこれが診断法として使えるかどうかを試しているところです。これがうまく使えれば、今までのように、当るも八卦当らぬも八卦、ではなくて、治療する前にこの人には効きそうか効きそうでないかを非常に精度よく判定できるようなシステムを作れると考えております。
   
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たとえば、先ほどのイレッサのように、1000人のうち300人に有効である一方、10人には強い、生命にかかわるような副作用が出る、しかしながら他に薬がない、という場合があったとします。この薬を使い続ければ絶対に副作用で亡くなる人が増えるのは避けられません。かといって薬をなくしてしまうと他に薬がない人から薬を奪ってしまうことになります。ですから私たちは、非常によく効くけれども副作用が出るという薬に関しては、効く人を見極める、あるいは副作用を予測するという形でうまく使い分けることによって、患者さんによりよい医療を提供できる基盤が必要だと考えていますし、このプロジェクトではまさに今その基盤を作ろうとしているのだということをご理解ください。
   
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プロジェクトの内容は、一つは社会に理解を得るということが大事で、そのためにホームページを作ったり、このような場を設けてできるだけ広くの方に知っていただく努力を続けております。社会の理解を得ながら30万人の患者さんに協力していただいて、臨床情報とDNAあるいは血清試料を収集するという計画でプロジェクトを進めております。

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オーダーメイド医療実現化プロジェクト事務局
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