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遺伝子という言葉以外に、このような研究が出来るようになった背景を、今から少しご説明申し上げます。その背景にあるのが、“ゲノム”という言葉です。残念ながら、日本では、中学とか高校の教科書に“ゲノム”という言葉が出てくるのは生命倫理のところだけで、科学的なことは一切教えません。
科学として、“ゲノム”という言葉を教えておりませんので、みなさんにとっては馴染みがない言葉かもしれませんけれども、“ゲノム”というのは生命の設計図です。私達が人間の形をしているのは“人間としてのゲノム”、つまり、人間としての生命の設計図を持っているから、人間の形をしています。“犬は犬のゲノム”を持っていますから犬の形をしている、“豚は豚のゲノム”を持っているから豚の形をしているわけです。それぞれゲノムというものに書き込まれた設計図に応じて、私たちの形が作られます。その生命の設計図は、ここに示しました“染色体”という形で、私たちは細胞の中に見てとることが出来ます。つまり、設計図がこの染色体というものの中に織込まれています。その科学物質名が、“DNA”です。最近はいろんなところで“DNA”という言葉は、あるいは、“遺伝子”という言葉が使われるようになりましたので、みなさん耳にされたことはあると思いますけども、このDNAに書き込まれた情報によって私たちの人間の形が作られていますし、いろいろな生命の仕組みが、これによって調節されています。この生命の設計図、“DNA”ですけれども、4種類の文字から出来ています。非常に単純で、A、D、C、Tという4種類の文字しかなく、それが30億繋がって、私たちの設計図を形作っています。今私が取り組もうとしているのは、この30億文字の内、3百万箇所から1千万箇所が個人個人で違っているという点です。“何故、ある人はある薬にとんでもない副作用が出るのか?”、あるいは“何故、私たちがみんな姿・形が違うのか?”などの個人個人の違いがあるのは、この微妙に遺伝暗号文字が違っているからです。今までなんとか体質と呼ばれてきたものも、実はこの遺伝暗号の違いが体質というものに反映されて、私たちの違いを形作っているわけです。
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