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基調講演「ひとりひとりの体質に応じたオーダーメイド医療とバイオバンクジャパン」

   
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その結果がこれです。結果的にイレッサという薬で、遺伝子の働きを点数に置き換えて考えることによって、効く効かないをあらかじめ予測出来るという可能性を得ました。さらに、私たちの作ったシステムが上手く行っているかどうかを評価しました。そうすると、点数がプラスであればやはりこの薬が効いた、点数がマイナスであれば効かなかったというデータを得ておりまして、今やこれをどんどん広げて行ってこの薬を使う前に効く効かないを見極めると、それで治療を開始するというようなシステムを作りたいというように思っています。この薬の場合、先程も申し上げました通り、非常に高額であるということと、3割しか効かないという問題点を指摘しましたけれども、もう一つ問題があります。
   
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それはこの薬を1千人の患者さんに投与した場合、10人あるいは20人が命を落してしまうような副作用が出ることです。これは新聞やテレビで大きく取り上げられ、記憶の片隅にある方がいらっしゃるかもしれません。効く方が約3割、でも命を落す方が1〜2%いることについて、メディア等を通して皆様もお知りになられたことと思います。この薬の問題点はこのまま放っておけば副作用によって亡くなる患者さんが増えますし、中止するとこの薬に頼っていた患者さんのがんは確実に進行します。従って、私たちは効く人を見極める、あるいは副作用を予測するなどを考えなければいけません。
   
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そこで、次に副作用の話をさせて頂きます。今効くか効かないは遺伝子の働きによって調べることが出来ると申し上げました。では副作用をどう考えるのかと申しますと、副作用というのは、アルコールに強い弱いというのと同じような現象です。例えばここの会場にいらっしゃる方に無理やりビールやお酒を飲ませると必ずひっくり返る人が出てくると思います。私たちは日常体験としてお酒に平気だ、お酒にちょっと弱い、お酒に非常に弱いというのを周囲の方々で見ているわけです。薬も同じで他から入ってくる物質で大体は大丈夫だと言いながらも、一部の人で非常に強い副作用が出てくるというのは、やはり薬に弱い人が存在するわけです。それは、今まで私たちは体質と言ってきましたけれども、体質とは何であるかということを先程申し上げましたように、遺伝暗号の違いです。従いまして、私たちは、遺伝暗号の違いを研究し続けて行けば、副作用の原因がわかるのではないかと考え、日々研究を進めております。
   
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この一例を示します。これは腎臓の移植の手術を受けた後に、免疫を押さえる薬をある患者さんが飲まれました。それによって、この患者さんは、心臓に重い副作用を示されました。私たちは、腎移植を受けた患者さんにご協力を頂いて、免疫を押さえる薬で非常に強い副作用を起こした人に遺伝的な特徴が見られるかどうかを研究しました。その結果がこれです。遺伝子の型で見ますとあるX遺伝子のGGタイプとGCタイプを持っていらっしゃる方は28人、1人も心臓に強い副作用を示されませんでした。それに対して、CCタイプは44人中10人の方が副作用を示されました。これとは別のY遺伝子に、やはりCタイプとTタイプという遺伝暗号の違いを持っている人がいて、それを調べるとCCあるいはCTタイプの30人の方は1人も心臓に強い副作用を示さなかったのに、TTタイプは42人中10人の方が副作用を示す結果となりました。この2つを合わせてXの遺伝子がCCタイプでYという遺伝子がかつTTというかたちで見ますと、3人に1人が心臓に重い副作用を示しました。それに対してそれ以外の人は42人いましたが、1人も心臓に強い副作用を示しませんでした。つまり今までこの薬に強い弱いと言ってきたことや、心臓が弱い体質だと言ってきたことが、こういう形で科学的に証明されつつある時代になって来ています。まだこの段階では不十分かもしれませんけれども、遺伝子の情報を出来るだけ沢山集めれば、この薬に対して非常に副作用が出やすいという人をある程度特定出来るというように私たちは考えていますし、こういう研究を進めて行く為には、当然ながら患者さんのご協力が必要となります。患者さんあるいは医療機関のご協力を得て、遺伝子の情報を積み重ねて行けば、副作用のない副作用を避けることの出来る社会が出来ると考えています。
   
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次に最近の目標をお話させて頂きます。ここに書いてある抗生物質、解熱剤、てんかん、風邪薬などを飲むことによって、全身が火傷の様な症状を示す副作用です。これも薬の害の一つです。このようなものも、今や体質だから仕方がないといって諦めるのではなくて、患者さんのご協力さえ得られれば私たちは何らかの答えを出すことが出来るというように考えております。このような場をもうけて私たちが一般の方にお話をさせて頂いておりますのは、今まで駄目だとか体質だと言ってきたものを科学的に証明できる時代になりつつあるということを、皆様方に知って頂きたいと思い、このような講演会を開催させて頂きまして、患者さんのご協力を呼びかけているわけであります。

   
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将来的に私が目指している『オーダーメイド医療』というのは、薬の副作用が出やすい体質を持っている、つまり薬の副作用が出やすいような遺伝暗号を持っている人は、遺伝子の情報をあらかじめ保管しておくことによって、病院である薬の処方を受けた場合に、コンピューターがこの患者さんはこの薬は危ないですよ、危険ですよということを、警報で知らせて患者さんの副作用を回避するというような医療の仕組みを作りたいと考えております。数さえ集まれば必ず出来るというように思っております。

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オーダーメイド医療実現化プロジェクト事務局
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