ごあいさつ

プロジェクトリーダーからごあいさつ

 3月11日に東北地方太平洋沖で発生した地震は東北地方をはじめ東日本各地で甚大な被害をもたらしており、まだまだ不安な思いで暮らしている方も多いことと思います。被災された皆様、そのご家族の皆様に、心からお見舞いを申し上げるとともに、復旧・復興のためのご努力には心から敬意を表します。

 私は、本年4月に、プロジェクトリーダーを拝命致しました。これまで、このプロジェクトには、遺伝子型を解析する責任者としてかかわってきましたが、この度、内閣官房参与・医療イノベーション推進室長になられた中村祐輔教授の後を受け継ぎ、プロジェクトの全体を統括する重責を担うこととなりました。このプロジェクトの発足と継続のために中村祐輔教授がなさってきたご努力と強い思いを受け継ぎ、プロジェクトの更なる発展に向け、努力してまいりたいと思います。

 私は、九州大学で久山町研究という一般住民の方を対象とした疫学研究に携わっておりました。この研究は、住民検診とその後の長期間の追跡調査を基に心血管病などの危険因子を調べる研究です。本プロジェクトに疫学研究のよさを取り入れ、プロジェクトの目標であるオーダーメイド医療の実現に向けて全力を尽くしたいと思います。

 これまでこのプロジェクトにご協力くださった、患者さんや医療関係者の方々には、あらためて御礼申し上げますとともに、今後ともご支援ご鞭撻を賜りますよう、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。

オーダーメイド医療実現化プロジェクト
プロジェクトリーダー 久保充明

[PROFILE]
1988年九州大学医学部卒、同年同大第二内科に入局。松山赤十字病院腎センターなどを経て、1995年より疫学研究で有名な久山町研究に従事。2003年東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター客員研究員、2006年理化学研究所ゲノム医科学研究センター・グループディレクター、現在は同センター副センター長も務める。

3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆様に、衷心よりお見舞い申し上げます。不幸にも命を落とされた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心からお悔やみを申し上げます。また、大変な状況下で、患者さんや被災者のために、昼夜を問わず、働き続けておられる方々の奮闘に敬意を表します。精神的なご負担など、われわれの想像を絶するような多大なものであると思いますが、日本中で、そして世界の人々が復旧・復興を応援しています。

 さて、私は、本年1月7日に内閣官房参与・医療イノベーション推進室長を拝命しました。国の立場で未来の医療を見据えた国家戦略を策定する部署の責任者です。このため、本プロジェクトのリーダーを3月で退任することになり、後任には理化学研究所・ゲノム医科学研究センターの久保充明先生が指名されました。久保先生は長年にわたって本プロジェクトの中心メンバーとして携わってこられましたし、今後の予防医療も含めたプロジェクトの方向性に適材の人物です。私もできる限りの協力は続けますので、久保リーダーのもとで引き続きプロジェクトを支援していただきますようお願い申し上げます。

 2003年に本プロジェクトが発足以降、皆様や医療関係者に支えられて今日まで世界最大級のバイオバンク活動が維持されてきました。皆様のご協力なくしては、世界に誇ることのできるバイオバンクやこれを利用した研究成果は決して生まれることはありませんでした。「日の丸」の誇りを示すことができたのは皆様のおかげであり、改めて心より感謝申し上げます。

2011年5月9日
オーダーメイド医療実現化プロジェクト
前プロジェクトリーダー 中村祐輔

文部科学省から平成15年度から19年度の5年間支援を受けた、第1期の「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」では、バイオバンクに約30万症例(約 20万人)のDNA・血清試料・臨床情報の収集をすることができました。ご協力いただきました患者さんやメディカルコーディネーター・病院関係者各位に は、心よりお礼を申し上げます。現在、それらを利用してSNP(遺伝子の個人差)と薬剤の効果、副作用などの関係を明らかにしたり、病気との関係を調べた りする研究を進めております。

平成20年度から24年度にかけて引き続き実施されております第2期の事業では、東京大学医科学研究所(バイオバンクジャパン)と麻生飯塚病院、岩手医科 大学、大阪府立成人病センター、がん研究会附属病院、結核予防会複十字病院、国立病院機構大阪医療センター、滋賀医科大学、順天堂大学、東京都健康長寿医療 センター、医療法人徳洲会、日本医科大学、日本大学に引き続きご協力いただき、血清と臨床情報の収集をさらに継続して実施いたしております。また、研究に 関しましては、東京大学医科学研究所・理化学研究所ゲノム医科学研究センター(旧遺伝子多型研究センター)の2研究機関に加え、日本国内の英知を集めて疾 患遺伝子研究に取り組むため、公募にて協力研究者を募り、研究のさらなる推進に努めております。

また、バイオバンクジャパンに収集・保管した試料は、体系的・網羅的な遺伝子解析およびタンパク解析を通して、医療上有用な発見につながるよう、審査を 行った上で、民間も含めた研究機関に引き続き、提供させていただきます。

2008年
オーダーメイド医療実現化プロジェクト
プロジェクトリーダー
中村祐輔

[PROFILE]
1952年生まれ。77年に大阪大学医学部卒業後、外科医として勤務
87年米国ユタ大学人類遺伝学教室助教授
帰国後、癌研究所生化学部長を経て、94年東京大学医科学研究所分子病態研究施設教授
95年、同ヒトゲノム解析センター長
2012年シカゴ大学医学部血液・腫瘍内科教授・個別化医療センター副センター長、現在に至る

 

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