プロジェクトの目的

プロジェクトの目的

このプロジェクトの目的は、病気の詳しい原因を解明することを通して新しい薬や治療法を開発していくこと。さらに、遺伝子の特徴が合うか合わないかを調べて副作用を回避するような「オーダーメイド医療」の実現も期待されます。

日本以外の国、たとえばアメリカやイギリスなどでも同じような研究をしているが、日本で独自に研究を進める意味は2つあります。
1つめは、科学的な理由です。現在、欧米で進められているのは欧米人の遺伝情報の研究ですが、欧米人と日本人の遺伝暗号はかなり違っているということがすでに科学的に分かっています。したがって、欧米人の遺伝情報を日本人向けの医療にそのまま適用することはできません。
2つめは、日本人の遺伝暗号に関する知的所有権を他国に握られると、新しい薬や診断方法を利用する時に、特許使用料として他国にお金を払わなければならなくなる、ということです。日本は現在すでに世界有数の医薬品使用国であり、今後急速に高齢社会化するのにともなって医療費も増加するであろうことは世界中の周知するところです。言い換えれば、医薬品や診断方法を開発・販売する側にとって日本は市場規模からも市場の成長性からも極めて重要であるということです。ですから、日本が独自に、しかも先んじて行わなければ、欧米のどこかで医療への応用を目的として日本人の遺伝暗号が解読されることは間違いありません。これは最終的には患者さんと国の医療費負担を増やすことにつながります。

オーダーメイド医療の開発により、医療費は節減されることが期待されます。オーダーメイド医療を実践するための遺伝子多型の検査費は増えることが予想されますが、重要なことは、個人に最適な医療を実践することですので、そのための医療費は必要だと考えられます。また、病気を適切に診断して治療することは、病気の重症化の回避にもつながります。これらによって、病気で働けない時間が短縮されることも期待でき、重症化によって、働けなくなることも避けうると考えられます。当然ながら、これらは社会福祉費の節減につながります。良い医療を提供することは、生活の質の向上、労働力の確保にもつながってくるのです。

 

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