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オーダーメイド医療実現化プロジェクトは
あたらしいステージへ
中村祐輔プロジェクトリーダーからごあいさつ

これまで5 年間にわたってご協力をいただいてきた「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」は、さらに5年間、文部科学省からの支援をいただき、継続することが決まりました。
本プロジェクト開始以降、約20万人の方々のご協力をいただき、約29万症例分のDNA、血清、診療記録(カルテ)からの情報によって成り立つ「バイオバンク・ジャパン」が完成しつつあります。この巨大なバイオバンクのおかげで、日本や世界の研究者と協力し合って、研究を推進できる体制が整いました。
また、これらの試料や情報を集積しながら、多数の疾患に関連した遺伝情報の違いを読み解き、それらをデータベースにする作業も進めてまいりました。その作業は、解析に使用する機器の進歩にも後押しされ、当初の予定よりも早く進んでいます。
もっとも大切なお約束である、皆様の個人情報の保護には万全を尽くしてきました。これまで事故なく進んでまいりましたので、どうぞご安心下さい。
今後とも、遺伝的な要因、環境要因の両方から、病気の解明を進めてまいります。皆様からお預かりしたDNA、血清、診療記録(カルテ)に関する情報などは、大切に使わせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本プロジェクトへのご協力を辞退なさりたい場合には、「同意撤回」の手続きをなさることによって、お預かりしている試料やデータを廃棄をさせていただき、今後は協力依頼のお声がけをしないように致します。
ご希望の方は、病院のメディカル・コーディネーター、主治医、看護師などにお申し出ください。
ご協力いただいている皆様からよくいただくご質問にお答えします。
Q. 今後、いつまで続くのですか?
A. 文部科学省からの支援は今後5年間続きます。ただし、研究の成果を得るためには、さらに長い時間がかかりますので、研究そのものは5年以上継続されます。
Q. なぜ成果が出るまで時間がかかるのですか?
A. 生活習慣病やがんなどの病気の原因となっている遺伝的要因はたくさんあり、しかも、色々な生活習慣や環境の違いが微妙に影響しあっているため、研究は非常に複雑だからです。また、数千人、時には数万人の情報を調べないと、確定的なことがいえないからです。このプロジェクトは5年前にスタートしましたが、最初の2年間は遺伝子の違いをもとにしたデータベースをつくることに集中していました。このデータベースは、研究を進めるための大切な基盤です。本格的な研究は、2年半くらい前から始めました。平成20年度以降は、多くの成果が発表できますので、期待していて下さい。
Q. なぜ私個人の研究結果を教えてもらえないのですか?
A. 研究成果は、非常に確定的なものから、単に可能性を示しているに過ぎないものまで多種多様です。したがって、結果が不確実なままでお伝えすると、大きな混乱を生ずる原因となります。また、遺伝子の情報は、その方だけでなく、血のつながった方にも関係する情報ですので、取り扱いを誤ると大きな問題になりかねません。こうした理由から、この研究プロジェクトが発足した当時、ご協力の意思を示してくださった患者さんには、「個人の解析結果についてはお伝えしない」というご説明をしたうえで、お約束を交わしております。この研究の内容を説明している当時のパンフレット(冊子)にも記載されています。
Q. なぜ毎年血清を取る必要があるのでしょうか?
A. 病気の進行にしたがって、あるいは、病気がない状態から新たに病気が出現する段階で、血液に含まれている成分が変わります。そのため、一年前の血清と、今の血清は、その成分が変わっています。時間の経過や病気の進行とともに少しずつ変化するような成分を見つけることができれば、その成分は病気の発症や重症化の兆候を知るための大切な信号となり、将来はその予防法につながります。21世紀の医療は、病気を治療する(メディカルケア)だけでなく、健康を守ること(ヘルスケア)が重要な時代です。血清はヘルスケアのための重要な研究にも生かされているということをご理解下さい。
Q. もうDNA は使わないのですか?
A. DNA を使った研究は今後も続けます。しかし、DNA は血清と違って、変化しませんし、今後の研究に十分なDNA量を提供していただきましたので、新たにDNA を提供いただくことはございません。
Q. 去年は声をかけられなかったのに、今年は声をかけられました。なぜでしょうか?
A. 本来は、一年に一度お願いすることになっていますが、様々な理由で、ご協力いただく機会を逃してしまったのかもしれません。上に述べましたように、血清は非常に重要な試料ですので、改めてご協力いただければ幸いです。
Q. 研究の進み具合を知りたいのですが。
A. 今後は、ホームページや講演会、そして、このバイオバンク通信を通して、皆様にお伝え致します。多数の研究成果が出てくると思います。どうぞご期待下さい。