研究成果の案内(2010.8.2)

前立腺がんの発症に関連する新たな5つの遺伝子多型を発見

-日本人の前立腺がんをゲノムワイドで遺伝子多型(SNP)関連解析-

 

◆概要

 欧米で男性のがんの発症率のトップに位置付けられている前立腺がんですが、食生活の変化や高年齢化に伴い日本人でも増加傾向が 続いています。このがんの発症因子は、人種、食生活、ホルモン環境、加齢とされていますが特定の因子は見つかっていません。 しかし、遺伝子による研究が進み、欧米では関連遺伝子やSNPが発見され、前立腺がんの発症には遺伝的要因が深くかかわることが 明らかとなってきています。また、人種的要因では、アフリカ人、欧米人、アジア人の順番で多いとされています。
 理化学研究所ゲノム医科学研究センターは、東京大学医科学研究所らと協力し、文部科学省が推進するオーダーメイド医療実用化 プロジェクトで実施した遺伝子の解析をもとに、日本人の前立腺がん発症に関係する新たなSNPを発見しました。収集した4,584名の 前立腺がん罹患者群と8,801名の対象群について高速大量タイピングシステムを使い、約50万個のゲノムワイドSNP関連解析を行いました。 その結果、これまで欧米で前立腺がんとの関連が指摘されていた31個のSNPのうち19個は日本人においても関連があることを確認しましたが、 残りの12個では関連がありませんでした。さらに、新たに5つのSNPが日本人の前立腺がんの発症と強い関連のあることを発見しました。 この知見により、人種や民族間での前立腺がんの遺伝的要因の違いを解明することや、PSA検査以外に新たに遺伝的素因で前立腺がんの 発症リスクの評価ができる可能性がひろがるものと期待されます。


図1:病気などに関連している遺伝子の発見法に革命が起こっている。

 

◆発表雑誌

電子版ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics online)

 

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