研究成果の案内(2011.03.28)

ネフローゼ症候群の新規リスク遺伝子の発見

 

◆概要

 東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科/血液浄化療法部 准教授 野入英世らのグループは東京大学医科学研究所、独立行政法人理化学研究所、福島県立医科大学との共同研究において、ネフローゼ症候群に共通する疾患関連遺伝子を発見しました。研究グループはさらに詳しい機能解析を行い、この遺伝子が、血液の不要な成分のみを尿として排出する腎臓のフィルター構造の維持に関与していることを明らかにしました。この遺伝子が高発現だと有害な刺激にさらされた場合、フィルター構造が破綻しやすくなり、ネフローゼ症候群の主な症状である蛋白尿(体に必要な蛋白が尿に漏れ出てしまう)を発症するリスクを上昇させますが、遺伝子の発現を阻害すると有害な刺激によるフィルター構造の脆弱性は消失し蛋白尿の発症が予防されました。また、蛋白尿発症後であっても、遺伝子の発現を阻害する物質を投与すると蛋白尿が減少しました。

 糖尿病を原疾患とする場合を含めた成人発症ネフローゼ症候群において、これまでに蛋白尿発症の病態に共通するメカニズムは解明されていません。今回の研究成果が、ネフローゼ症候群に対する新たな治療法や予防法、診断法の開発につながることが期待されます。

 本研究成果は、米国の科学雑誌『Nature Genetics』に掲載されるに先立ち、オンライン版(米国東部標準時間3月27日午後1時付:日本時間3月28日午前2時)に掲載されました。

 

◆発表雑誌

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電子版ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics online)

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