プロジェクトに関するQ&A

シンポジウムでの質問

これまでに行われたシンポジウムの会場でいただいたご質問の一部を、Q&Aにまとめたものです。
今後も、随時更新していく予定でいます。

Q. オーダーメイド医療は遺伝子治療とは違うということですが、遺伝子の解析が進めば、将来的にそれを利用した遺伝子治療へとつながってしまうと思います。
それについて、どのようにお考えですか?
A. 遺伝子治療をすることによって様々な副作用が起こる可能性があり、遺伝子治療を行うかどうかは国レベルで慎重に審議される必要があります。そのために、遺伝子治療には国の指針があり、国の委員会で承認されて実施されます。
したがって、個人的な考えで無謀な遺伝子治療が実施されることはありません。
 
  
Q. 遺伝子による差別には、現在どのようなものがあるのでしょうか?
A. イギリスやアメリカで、生命保険の加入時に遺伝子による差別が起こりました。
わが国では、遺伝子による差別というより、残念なことに遺伝病による結婚や就職の差別が依然として存在します。
親戚に遺伝病患者がいるという理由で、結婚を反対されるようなこともあります。
遺伝子が差別を生んでいるのではなく、すでに社会にある差別と遺伝子情報をつなげようとしているのが“遺伝子差別”と呼ばれているものの実体です。
 
  
Q. このようなプロジェクトによって遺伝的な情報が解明されると、遺伝子差別が起こるのではないかと心配です。
個人の遺伝子情報による差別を起こさないための対策として、どのようなことを考えていらっしゃいますか?
A. 個人の遺伝子情報を差別につなげないためには、情報漏洩防止に加え、法的整備と教育が重要だと考えています。
 
  
Q. 病気の原因には“遺伝子要因”と“環境要因”があるという説明がありましたが、そのうち“環境要因”が占める割合はどのくらいでしょうか?
A. 病気や個人によって、0~100%の違いがあります。このプロジェクトでは、どの病気に、またどのような人に、どんな遺伝子要因が大きく関与するのか、どんな環境要因が大きく関与するのかも調べていきます。
 
  
Q. 遺伝子情報をもとにした医療を「オーダーメイド医療」と呼ぶのは不正確であり、「遺伝子タイプ別医療」と言い換えるべきではないでしょうか?
「オーダーメイド医療」というのは、精神と身体の両方の視点からアプローチした治療プログラムを設定するなどの試みにこそ、名づけられるべきものだと思います。
A. 遺伝子情報だけがオーダーメイド医療の基盤ではありません。
当然ながら、将来的に遺伝子情報に加え、種々の情報を取り入れ、医療の個別化に利用することを見据えています。
 
  
Q. 5年先に、一般の病院で使えるようになる為の新しい技術、測定キット化の可能性、コスト削減の見通しについて教えていただけないでしょうか?
ユタ大学のAPC遺伝子配列の決定は2,000ドルと、大変高価であると聞いています。
A. APC遺伝子は遺伝子のサイズが大きく、調べる範囲も広いことや家族性大腸腺腫症という遺伝性の病気の患者さんについての検査で検査数も非常に少ないので、高額になっていると考えます。
癌の個別化医療をする場合のSNP診断、発現解析は、たくさんの患者さんを対象とするので、数千円から数万円程度での検査費用になると推測されます。
 
  
Q. 今後、医薬品開発における治験は、ゲノム情報とセットでなければ行えなくなっていくのではないでしょうか?
A. アメリカではその方向に向いてきていますので、わが国でもそのようになってくると思います。
 
  
Q. SNP解析の結果は特許化されるのでしょうか?
また、それを民間企業が使用する場合、ロイヤリティはどうなるのでしょうか?
A. 医療上有用な情報は特許化されることになると思います。
したがって、当然ながら、その情報を利用する際の使用料は発生します。
 
  
Q. このプロジェクトで得られた特許は、誰(どの機関)の権利となるのでしょうか?
A. 特許は、協力医療機関、東京大学、研究機関の3者に属することになります。
 
  
Q. オーダーメイド医療が実現した際、出生時や小児期など、いつ遺伝子解析を行うのが適当だとお考えでしょうか?
A. しばらく(5~20年間程度)は、個別の薬剤に関して遺伝子解析が行われますので、薬剤投与前に診断が行われることになります。
ただし、診断を受けるかどうかは個人の自由意志に任されますので、強制的に遺伝子が調べられることはありません。
よく利用される多くの薬剤の、効果や副作用に関する遺伝子情報が蓄積された時点では、出生時に検査を受ける有用性が検討されるかもしれません。
しかし、これも国民の合意が必要ですし、検査を受けない権利も保障されることになると考えています。
 
  
Q. 製薬会社で研究に従事している者です。
オーダーメイド医療の最終形は薬の予防的投与だと思いますが、現在国内では予防薬の承認はとりにくい状況にあると思います。
今後、積極的に予防薬を承認していく流れがないと、製薬会社としては本腰を入れて予防薬の開発が出来ません。
本シンポジウムでは、厚生労働省に予防薬の承認を受け入れるように要請していくことはないのでしょうか?
A. ご主旨はわかりますが、本件は、私どもの役割を超えているものだと考えます。
また、薬に頼るだけでなく、自分自身で、食生活や運動習慣などを調整し、病気にかかるリスクを自己の責任で回避することもオーダーメイド医療の目的です。
 
  
Q. 中村先生のお話の冒頭に、病気は遺伝要因と環境要因があいまって発現するとありました。
オーダーメイド医療のためには、食品添加物や大気中の化学物質、電子機器からの電磁波など、環境に対しての研究や対処なども考えてほしいと思いますが、いかがでしょうか?
A. ご指摘の通り、環境要因の研究は非常に重要ですが、個人情報が関わることもあり、研究を進める上での社会的な理解が十分に得られていない側面があります。
今後、このような取り組みができるよう活動していきたいと考えております。
 
  
Q. DNAの解析には、ひとりあたり、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?
A. 数年後には、病院で、採血から数時間以内で診断が可能になると思います。
 
  
Q. ALSやプロジェリアの病因遺伝子が発見されたとの報道がありましたが、本プロジェクトと関係があるものなのですか?
A. 関係はありません。
 
  
Q. 「病気になりやすい」ことがわかる=「ある治療薬(法)が効く」という図式は、現在は成立していないと思います。
「病気になりやすい」だけわかっても不幸です。
それらがセットにならないうちは、世の中で使って欲しくありません。
A. 病気になりやすい原因を見つけることが、薬剤を開発するための第1歩です。
結核の原因となる結核菌が発見されても、すぐに薬はできませんでしたが、結核菌が発見されていなければ、その後の治療薬の開発もありませんでした。
治療薬、治療法が存在すれば、あえてその原因を解明する必要はありません。
セットでないのは不幸かもしれませんが、われわれは、原因解明こそ治療薬開発に不可欠だと考えています。
 
  
Q. オーダーメイド医療では、薬だけでなく、手術や放射線治療の応用性もわかるのでしょうか?
A. 放射線の有効性はわかるようになると思いますが、手術の応用性は難しいと考えます。
 
  
Q. インフォームド・コンセントに費やす時間は、平均どの位ですか?
A. 30~40分です。患者さんの年齢や、理解度などにより前後することがあります。
 
  
Q. 腎移植に免疫抑制剤は必須の薬剤だと思いますが、講演の中で、腎移植後の免疫抑制剤で副作用を起こしやすいタイプの患者とそうでない患者では、40倍も副作用発現率に差が出るということをお話しされておられたと思います。
こういった副作用が出やすい患者さんに対して、免疫抑制剤以外の薬剤で対応できるのでしょうか?
A. 免疫抑制剤の投与が不可欠の場合には、より注意深く観察することによって、致死的な状態を避けるために利用するのが現実的です。
多くの種類の免疫抑制剤が開発されて、投与を回避できるようになれば、薬を回避する方向で考えるのが望ましいと考えます。
 
  
Q. DNAの検査は一度だけで良い、と言われていたが、紫外線や放射線でDNAが損傷した場合はどうなるのでしょうか?
A. 60兆個の細胞のうち、1個の細胞に起こった損傷は検出できません。
遺伝子多型情報は、生まれたままのものがほとんどの細胞でそのまま保たれているので、一度調べれば十分です。
 
  
Q. 今後開発されていく薬剤のみでなく、既存の薬剤の使用によって起こる副作用や効果が、事前にわかるのでしょうか?
A. このプロジェクトでは、現在患者さんが服用されている薬剤について、副作用や効果について調査を行っています。したがって、既存の薬剤についても副作用や効果が事前にわかる可能性があります。
 
  
Q. 病気の治療に個人の遺伝子データを使用すると、病院を変えるたびに、そのデータが各病院に残ってしまうことにならないでしょうか?
また、それによって、個人データ漏洩の可能性が増えていくことになるのではないでしょうか?
A. 本研究プロジェクトの目的は、応用のための基盤情報を集めることにあり、病院を変えることによる影響はありません。
将来的な遺伝子データの利用に際しては、別途管理システムを国家レベルで考える必要があります。
 
  
Q. 現在はDNA検査に時間がかかるようですが、将来オーダーメイド医療が実現した時は、血液型検査のように、現場ですぐに診断結果が出せるのでしょうか?
A. 数時間で判定ができる機械が、2、3年の間に開発されると思われます。
 
  
Q. 100%効く薬がない以上、ある患者に対して実際に効くかどうかわからない方が、使用量が増えて、結果的に薬が売れると思われます。
そのため、医薬品会社は、このようなプロジェクトに協力してくれないのではないでしょうか?
A. 患者さんが、自分たちが望んでいる医療を求めて、自分たちの声をあげる。
それが、一番の近道だと思います。
医療を変えるのを医療従事者や研究者、あるいは、行政に頼るのではなく、自らが何を望むのかを明確にされる必要があり、それが社会を動かす原動力になると思います。
 
  
Q. このプロジェクトに協力して血液を提供した場合、もし病気があったら教えてもらえるのでしょうか?
提供者のメリットはあるのでしょうか?
A. 協力していただいた患者さんへの直接のメリットはありません。
同じ病気を持つ人や自分たちの子孫へ貢献するという意識の元に、協力いただいております。
 
  
Q. オーダーメイド医療の対象となる薬剤の選択、優先順位はどのように考えているのでしょうか?
A. 重篤な病気に使用されるものから取り組みたいと考えていますが、現状では製薬企業の理解が得られないため、申し出のあった薬剤から取り組んでいます。
 
  
Q. 血液の提供によって、本人の知らない病気が判明した場合、その説明はどのようにされるのですか?
A. 病気や副作用のリスクがわかっても、本人にはお知らせしない取り決めになっています。
 
  
Q. 「オーダーメイド医療」では、一個人に一薬といった、完全に個人個人に合わせた薬の開発まで行うようになるのでしょうか?
A. 利用出来る薬の中から最も適したものを選んでいくのがオーダーメイド医療です。
薬の開発の際にもこの考えが適応され、今までより効率的かつ安全に、患者さんのタイプごとに薬剤の開発が進むと考えています。
 
  

Adobe Readerのダウンロードは
こちらをご覧ください。

 

ページトップへ