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2024.2.15
ニュースプレスリリース
バイオバンク・ジャパンの試料・情報を用いた研究成果が、国際科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(1月31日付)に掲載されました。
理化学研究所の寺尾知可史チームリーダーと、バイオバンク・ジャパン代表の東京大学 松田浩一教授らの研究グループは、難治性全身性自己免疫疾患の全身性強皮症(SSc)について、アジア最大規模の全ゲノム関連解析(GWAS)[1] を行い、新規の疾患関連一塩基多型(SNP)[2] を同定し、このSNPの病態形成における役割を解明しました。
SScは、膠原病のひとつで、皮膚・肺・消化管など全身の臓器が硬化(線維化)することが特徴の全身性自己免疫疾患です。発症には複数の遺伝因子と環境因子が関与すると考えられています。先行研究では東アジア系集団を対象としたSScのGWASは少なく、東アジア人のSScの遺伝的背景の解明はあまり進んでいませんでした。
本研究成果は、東アジア系集団においてSScに関連する新たな遺伝因子を発見し、その遺伝因子が発症にどのように関与しているか解明を行いました。本研究成果はSScをはじめとする自己免疫疾患のゲノム研究の進展や、診断や治療など日常診療の発展に貢献することが期待されます。
<原著論文>
https://www.nature.com/articles/s41467-019-12760-y
詳しくは、東京大学 新領域創成科学研究科によるプレスリリース記事をお読みください。
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/10771.html
[1] 全ゲノム関連解析(GWAS): 疾患の有無や臨床検査値と遺伝子多型の関連を全ゲノムにわたって網羅的に解析する統計学的手法。GWASはGenome-Wide Association Studyの略。
[2] 一塩基多型(SNP): 遺伝子上に存在する一塩基の違い(多型)をSNPと呼ぶ。ヒトをはじめとした2倍体と呼ばれる生物では、母親由来と父親由来の染色体を受け継ぐため、異なる遺伝情報を持つ二つの対遺伝子が存在しており、この対遺伝子を対立遺伝子あるいはアレルと呼ぶ。SNPにおいては、頻度の低いアレルをマイナーアレルと呼び、頻度の高いアレルをメジャーアレルと呼ぶことがある。マイナーアレルが疾患のリスクアレルあるいは効果アレルであることが多いことから、マイナーアレル頻度は一般的にリスクアレルあるいは効果アレルの頻度であると解釈されることが多い。SNPはSingle Nucleotide Polymorphismの略。