For Researchers
研究者の皆様へ
試料・情報などの提供を通してゲノム研究に貢献
バイオバンク・ジャパン(BBJ)は、2003~2007年度、2012~2017年度に、全国の協力医療機関の患者さんにご協力いただき、約27万人分のDNA試料および臨床情報を収集しました。2003~2007年度にご協力いただいた約20万人の患者さんからは、血清試料もご提供いただきました。それらの試料と情報は、氏名などの個人情報を削除して、研究用のIDをつけて万全のセキュリティ対策のもとで保管しています。また正規の手続きの下、日本のルール(法律やガイドラインなど)に従って、ゲノム医療の実現や、新たな臨床方法、治療方法の開発を目指す学術研究機関や企業などの研究者に提供しています。
BBJが提供する試料は、生活習慣病を含む代表的な51の疾患(2023年12月現在)の患者さんから提供されたものです。これらの試料は病気に関する情報(臨床情報)と紐づけて解析することができ、日本人を対象とするゲノム研究用の資源として大変貴重です。近年は協力者の方々から追加の臨床情報を収集することで、疾患バイオバンクとしての基盤をより強化するとともに、試料・情報を用いるゲノム解析・オミックス解析等を進め、研究者の方々からのニーズに答えるとともにデータ基盤の強化を図っています。解析済みのデータは順次、公的データベースを通じて公開・共有を進めています。ぜひBBJの試料と情報を研究のためにご活用ください。
登録症例数
51疾患:267,307人、441,549症例 (2024年7月1日現在)
疾患名 | 症例数 |
---|---|
高脂血症 | 70,040 |
糖尿病 | 59,562 |
白内障 | 26,012 |
不整脈 | 25,354 |
脳梗塞 | 21,404 |
安定狭心症 | 20,723 |
心筋梗塞 | 16,637 |
大腸・直腸がん | 14,886 |
心不全 | 12,890 |
前立腺がん | 11,755 |
胃がん | 11,393 |
乳がん | 11,380 |
気管支喘息 | 11,201 |
骨粗鬆症 | 10,492 |
C型慢性肝炎 | 8,810 |
肺がん | 7,866 |
尿路結石症 | 7,027 |
関節リウマチ | 6,743 |
疾患名 | 症例数 |
---|---|
花粉症 | 6,280 |
子宮筋腫 | 6,216 |
緑内障 | 6,125 |
不安定狭心症 | 6,123 |
肝硬変 | 4,800 |
肺気腫(COPD) | 4,584 |
閉塞性動脈硬化症(ASO) | 4,568 |
肝がん | 4,267 |
歯周病 | 3,957 |
脳動脈瘤・クモ膜下出血 | 3,941 |
てんかん | 3,408 |
アトピー性皮膚炎 | 3,402 |
造血器腫瘍 | 2,671 |
B型慢性肝炎 | 2,666 |
バセドウ病 | 2,493 |
食道がん | 2,427 |
子宮体がん | 2,075 |
子宮頸がん | 2,025 |
疾患名 | 症例数 |
---|---|
間質性肺炎・肺線維症 | 1,917 |
子宮内膜症 | 1,907 |
卵巣がん | 1,610 |
ネフローゼ症候群 | 1,179 |
膵がん | 1,091 |
肺結核 | 1,011 |
過敏性症候群(薬疹) | 972 |
胆道がん・胆管がん | 952 |
ケロイド | 896 |
腎がん | 887 |
認知症 | 820 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 782 |
うつ病 | 541 |
脳出血 | 440 |
熱性けいれん | 341 |
2003年6月から2008年3月までに、約20万人から収集したDNA、血清、臨床情報がベースラインとなっています(47疾患)。2008年4月以降も来院が継続している症例では、血清や臨床情報が収集されています。また、予後調査の実施により、死亡診断書記載事項に基づいて、死因が確定した症例もあります。
2012年12月から2017年12月までに、約7万名から収集したDNA、臨床情報がベースラインとなっています。(38疾患:第1コホートと共通の34疾患+新規4疾患)
DNAの品質(血液から精製時 100ng/μLに濃度調整)
イルミナSNP CHIPによる網羅的ゲノム解析結果
15年以上保管のゲノムDNAでも全ゲノムシークエンス解析可能
血清試料のメタボロームデータ(PDF)
バイオバンク・ジャパンの血清バンクに保管されている、血清試料のメタボローム解析データです。10疾患(肺がん、胃がん、卵巣がん、大腸がん、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、肺気腫、間質性肺炎・肺線維症、緑内障、関節リウマチ)、 各疾患50検体ずつ(合計500検体)の解析を実施しています。
さらにこのうち計105検体についての測定代謝物質101成分のCE-MS(キャピラリー電気泳動質量分析装置)による相対値データが追加されています。
各疾患について、男女別にmetabolite の平均値+分散値を示しております。血清試料を解析する際、品質の参考にご利用ください。
コントロールやスクリーニング目的としても利用いただけるよう、血清パネル試料として少量(100μL単位)の提供を行っています。
血清パネルリスト(2019.4 配付開始) | ||
---|---|---|
肺がん(小細胞癌) | 脳梗塞(アテローム血栓症) | ネフローゼ症候群 |
肺がん(腺癌) | 脳梗塞(心原生塞栓症) | 尿管結石症 |
肺がん(扁平上皮癌) | 脳梗塞(ラクナ梗塞) | 骨粗鬆症 |
肺がん(大細胞癌) | 脳動脈瘤 | 糖尿病 |
食道がん | てんかん | 高脂血症(脂質異常症) |
胃がん | 気管支喘息 | バセドウ病 |
大腸直腸がん | 肺結核 | 関節リウマチ |
肝がん(HBV) | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) | 花粉症 |
肝がん(HCV) | 肺線維症・間質性肺炎 | 薬疹 |
膵がん | 心筋梗塞 | アトピー性皮膚炎 |
胆嚢胆管がん | 不安定狭心症 | ケロイド |
前立腺がん | 安定狭心症 | 子宮筋腫 |
乳がん | 不整脈 | 子宮内膜症 |
子宮頸がん | 心不全 | 熱性けいれん |
子宮体がん | 閉塞性動脈硬化症(ASO) | 緑内障 |
卵巣がん | B型慢性肝炎 | 白内障 |
多発性骨髄腫 | C型慢性肝炎 | 歯周病 |
ホジキンリンパ腫 | 肝硬変(B型慢性肝炎合併) | |
非ホジキンリンパ腫 | 肝硬変(C型慢性肝炎合併) |
また11種のがんについては、発症前後の血清パネル(発症前後ペア)をご提供しています。
疾患名 | |||
---|---|---|---|
肺がん | 大腸・直腸がん | 胆嚢・胆管がん | 子宮頸がん |
食道がん | 肝がん | 前立腺がん | 卵巣がん |
胃がん | 膵がん | 乳がん |
■血清パネル(疾患55種類)での提供臨床情報
※データ欠損がありますので、ご活用の際には、事務局の試料・情報問合せ担当までお問い合わせください。
2023年より第5期事業を開始したBBJは、ゲノム医療の実装を目指し、さらにデータ基盤の強化を進めています。近年は、ゲノム解析やオミックス解析の手法が発展し、広くバイオマーカーの探索研究などに利用されています。BBJでも協力者の方々から提供を受けた生体試料のゲノム解析やオミックス解析を進めることで、ゲノム医療研究のデータ基盤強化を図っています。
ゲノムデータ、オミックスデータについては、BBJから提供する他、データ利活用促進のため、ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)によるNBDCヒトデータベースおよび、ゲノム制限共有データベース(AGD)、AMEDデータ利活用プラットフォーム等の公的データベースからも提供しています。
BBJから提供しているデータは、BBJへ利用申請を、公的データベースから提供しているものは、それぞれのデータベースへ利用申請をお願いいたします。
公的データベースから利用申請したデータに対応するBBJの臨床情報の提供を希望される方は、試料 / 情報ご提供の流れをご参照の上、試料等利用審査会への申請・承認後に利用が可能となります。
詳しい臨床情報の項目は、「臨床情報」の臨床情報入力シートをご確認ください。
BBJ保有の臨床情報(基本情報・疾患シート)の詳細を使って、試料の絞り込みが可能です。
臨床情報のご提供については、試料ご提供後、約1か月程度で、エクセル表にしたものをご提供いたします。
全疾患共通 : すべての疾患で入力対象となる基本の項目
調査票 | 概要 | 登録機会 |
---|---|---|
基本情報 | 登録時情報、喫煙、飲食 | 初回の調査時 |
共通分類 | 食生活、運動、既往歴、家族歴 |
全疾患共通 : すべての疾患で入力対象となる項目
調査票 | 概要 | 登録機会 |
---|---|---|
現在の処方 | 調査実施日より1か月以内に投薬された薬剤情報 | 調査時、複数登録 |
副作用 | 副作用 |
BBJが保有している試料について、「試料種別」「性別」「登録時年齢」「登録疾患名」「既往歴」「喫煙歴」「飲酒歴」「GWASデータの有無等」を条件項目として検索し、保有試料数を調べることができます。バイオバンク・ジャパンへ試料配布を申請する際の「試料数の目安」としてご利用ください。ただし検索結果は定期的なデータ更新時点のものであり、現在の保有状況とは異なる場合があります。
※バイオバンク・ジャパン保有試料検索システムのご利用にはメールアドレスの登録が必要です。ただしフリーメールアドレス(gmail.com, qq.com等)での登録は受け付けておりません。必ずご所属機関の公式メールアドレスから申請をお願いいたします。
バイオバンク・ジャパン事務局は、2017年10月30日付で、国際標準化機構(ISO)の定める2つの国際規格、ISO9001:2015(品質)、ISO/IEC27001:2013(情報セキュリティ)マネジメントシステムの認証を取得しています。
これは、生体試料および臨床情報の収集・保管および提供に関し、品質・情報セキュリティの向上を目指す取り組みのひとつです。
左:登録証(情報セキュリティマネジメントシステム) 右:登録証(品質マネジメントシステム)
BBJの試料と情報の利用をご希望される 場合は、以下のリンクページをご参照ください。