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Initiatives & Research
活動と研究成果

BBJの活動と研究成果 -試料と情報の提供実績、これまでの研究成果等

試料・情報の提供を通してゲノム研究に貢献

バイオバンク・ジャパンは、2003年の発足以来、全国の協力医療機関を通して、27万人もの患者さんから生体試料と臨床情報の提供を受けました。それらの試料・情報は氏名などの個人情報を削除して、研究用のIDをつけて万全のセキュリティ対策のもとで保管しています。そして、それらの試料や情報をオーダーメイド医療の実現や、新たな診断方法や治療方法の開発を目指す学術研究機関や企業などの研究者に提供しています。また近年は産学連携や共同研究などの枠組みによるゲノム・オミックス解析を進めると共に、その解析データをBBJのデータベースだけではなく、公的データベースを通じて迅速に公開することで、データの利活用を推進しています。

これまでBBJの試料と情報を利用して、多くの重要な研究成果が生み出されています。これらの成果は、英科学誌ネイチャー(Nature)を始めとする権威ある国際科学誌に多数掲載され、日本のみならず世界のゲノム研究やゲノム医療の発展に貢献しています。

試料・情報収集の歴史

第1コホート

2003年6月から2008年3月までに、約20万人から収集したDNA、血清、臨床情報がベースラインとなっています(47疾患)。2008年4月以降も来院が継続している症例では、血清や臨床情報が収集されています。また、予後調査の実施により、死亡診断書記載事項に基づいて、死因が確定した症例もあります。

第2コホート

2012年12月から2017年12月までに、約7万名から収集したDNA、臨床情報がベースラインとなっています。(38疾患:第1コホートと共通の34疾患+新規4疾患)

詳細については、以下をご参照ください。

これまでのあゆみ

試料・情報の提供実績

全 51 疾患、DNA 453,875 検体、
血清 111,890 検体を配付済み

(2023年3月末現在)

試料・情報の提供・利用実績
(2023年3月末現在)

DNA血清臨床情報、ゲノム情報(NBDC)
学術機関企業学術機関企業学術機関企業
第1期(2003-2007)9,30001,7501,461
第2期(2008~2012)3,16005112,369
第3期(2013~2017)9,59306,050211
第4期(2018~2022)431,35846418,98880,5501,548,120421,690

2022年度までの学術機関・企業別の試料・情報の提供数については、上記記載の通りです。
審査開始から2週間程度で試料・情報の提供が可能となっています。

これまでの試料・情報の提供先一覧

これまでのおもな研究成果

2022年12月末現在、BBJの試料・情報を使って行われた研究や、BBJに関する論文が国際的な科学雑誌に約600本掲載されています。BBJの試料・情報を利用し、疾患や薬剤に関連する遺伝子の他にも、身体的特徴やバイオマーカーに関連する遺伝子が発見されています。そのほかには、BBJ登録者全体の特性に関する報告もされています。こうした研究成果は、さらに世界中の研究者に共有・活用され、ゲノム医療の実装へとつながることが期待されています。

BBJ試料と情報を利用して発表された論文(疾患別)

BBJの試料・情報を利用して発表された論文は、以下の疾患などを対象としています。

疾患分類疾患名
神経・精神疾患アルツハイマー病、 気分障害、 筋萎縞性側硬化症(ALS) 、 双極性障害、パーキンソン病
眼科・耳鼻科疾患アレルギー性鼻炎、 加齢黄斑変性症、 緑内障
内分泌代謝疾患脂質異常症、痛風・高尿酸血症、糖尿病、バセドウ病
心疾患・脳血管疾患アテローム血栓性脳卒中、 冠動脈心疾患、 胸部大動脈瘤、 虚血性脳卒中、 心筋梗塞、 心血管疾患、 心房細動、 川崎病、 頭蓋内動脈瘤、 脳梗塞、 胸部大動脈瘤、 末租勤脈疾患(PAD)
腫瘍性疾患胃がん、肝がん、食道がん、膵臓がん、前立線がん、大腸がん、胆嚢がん、乳がん、肺がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、膀胱がん
消化器疾患B型肝炎. C型肝炎、胃潰瘍、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肝障害、クローン病、自己免疫性肝炎、十二指腸潰瘍
呼吸器疾患結核、喘息、特発性肺線維症
腎・尿路系疾患腎機能、腎結石、ネフローゼ症候群
婦人科系疾患子宮筋腫、子宮内膜症
骨・結合組織疾患関節リウマチ、後縦靭帯骨化症、骨粗鬆症、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、特発性側弯症、特発性大腿骨頭壊死症、
変形性膝関節症、腰椎椎間板変性症
皮膚疾患アトピー性皮膚炎. ケロイド
歯科・口腔疾患歯周炎
薬剤関連副作用、薬剤応答性、薬剤性過敏症症候群(薬疹)
その他BBJ登録者全体の特性、身体的特徴、統計等の研究方法、パイオマーカー・検査値
(2022年12月31日現在)

■代表的な論文成果(2023.12月現在)

2023East Asian-specific and cross-ancestry genome-wide meta-analyses provide mechanistic insights into peptic ulcer disease
Yunye He, Masaru Koido, Yoichi Sutoh, et al.
東アジア特異的および家系横断的ゲノムワイド・メタ解析から消化性潰瘍疾患のメカニズムが明らかに
(掲載誌:Nature Genetics)
2023Hereditary cancer variants and homologous recombination deficiency in biliary tract cancer
Yuki Okawa, Yusuke Iwasaki, Todd A. Johnson, et al.
胆道がんにおける遺伝性がんバリアントと相同組み換え修復欠損
(掲載誌:Journal of Hepatology)
2023Cross-ancestry genome-wide analysis of atrial fibrillation unveils disease biology and enables cardioembolic risk prediction
Kazuo Miyazawa, Kaoru Ito, Masamichi Ito, et al.
心房細動ゲノムワイド関連解析における脳梗塞の遺伝的リスクスコア
(掲載誌:Nature Genetics)
2023Genome-Wide Association Study of Lung Adenocarcinoma in East Asia and Comparison with a European Population
Keiko Hikino, Nao Tanaka, Masaru Koido, et al.
東アジアにおける肺腺癌のゲノムワイド関連研究とヨーロッパ人集団との比較
(掲載誌:Journal of Investigative Dermatology)
2022Discovery and systematic characterization of risk variants and genes for coronary artery disease in over a million participants
Kazuyoshi Ishigaki, Saori Sakaue, Chikashi Terao, et al.
100万人以上の参加者を対象とした冠動脈疾患のリスク変異体および遺伝子の発見と体系的特性評価
(掲載誌:Nature Genetics)
2022Expansion of Cancer Risk Profile for BRCA1 and BRCA2 Pathogenic Variants
Yukihide Momozawa, Rumi Sasai, Yoshiaki Usui, et al.
BRCA1およびBRCA2病原性バリアントのがんリスクプロファイルの拡大
(掲載誌:JAMA Oncology)
2022Stroke genetics informs drug discovery and risk prediction across ancestries
Aniket Mishra , Rainer Malik , Tsuyoshi Hachiya , et al.
脳卒中遺伝学により、創薬と祖先集団を超えたリスク予測に役立つ情報取得
(掲載誌:Nature)
2020Identification of type 2 diabetes loci in 433,540 East Asian individuals
Kenichi Yamamoto, Kyuto Sonehara, Shinichi Namba, et al.
日本人集団に特徴的な同類交配の遺伝的影響を発見―パートナーの類似性によって次世代に現れる特定の形質
(掲載誌:Nature)
2020Large-scale Genome-Wide Association Study in a Japanese Population Identifies Novel Susceptibility Loci Across Different Diseases
Yuya Sekine, Yusuke Iwasaki, Tomomi Aoi, et al.
日本人集団における大規模ゲノムワイド関連解析により、様々な疾患の新たな感受性遺伝子を同定
(掲載誌:Human Molecular Genetics)
2019Identification of 28 new susceptibility loci for type 2 diabetes in the Japanese populations
Suzuki K, Akiyama M, Ishigaki K, et al.
日本人集団における28の新しい2型糖尿病感受性遺伝子座の同定
(掲載誌:Nature Genetics)

国際科学誌ネイチャー(Nature)にもBBJの試料と情報を利用するなどして創出された研究成果である論文が多数、掲載されています。

これまでの論文成果の一覧やプレスリリースについては、以下をご確認ください。

これまでの論文成果一覧へ

プレスリリース記事へ

ゲノム・オミックス解析

2023年より第5期事業を開始したBBJは、ゲノム医療の実装を目指して、さらに試料・情報の利活用を進めています。近年は、ゲノム解析や、生体分子に関する網羅的な情報であるオミックス情報を対象にした解析手法が進歩し、広くバイオマーカーの探索研究や新たな臨床・治療方法の開発を目指す研究などに利用されています。BBJでも協力者の方々から提供を受けた生体試料のゲノム解析やオミックス解析を進めることで、ゲノム研究のデータ基盤としての充実を図っています。

マルチオミックスデータ基盤の構築と研究利活用の促進

BBJでは肝疾患, 自己免疫・アレルギー疾患、認知症、心血管疾患、感染症などをターゲットとするマルチオミックスデータ基盤の構築を進めています。

ゲノム・オミックス解析についての詳細および、公開中の解析データについては、以下を参照ください。

ゲノム・オミックス解析

公開中ゲノム・オミックスデータ一覧へ

BBJとの共同研究 / 連携

産学連携・国際連携への取り組み

バイオバンク・ジャパンは、51疾患の患者さん(協力者)から提供いただいた貴重な生体試料と臨床情報を提供しています。現在のゲノム解析研究においては、欧米人の試料・情報を用いた研究が圧倒的に多く、日本を含む東アジアを対象とした研究がまだ少ない状況です。このことから、27万人の日本人の患者さんの試料・情報を保有している疾患バイオバンクとしてのBBJの存在意義は大きく、ゲノム研究への試料と情報の提供に加え、産学連携や国際連携等、多様な連携の枠組みによる迅速なゲノム・オミックス解析とデータ共有・利活用を進めています。
またBBJでは世界各国からの視察を受け入れており、試料倉庫の見学やBBJ研究者との意見交換を通して、日本のみならず世界のゲノム医療の発展にも貢献していきたいと考えています。

近年の産学連携を含む共同研究や多様な連携の取組みについては、BBJとの共同研究 / 連携をご参照ください。