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2024.4.17
ニュースプレスリリース
バイオバンク・ジャパン(BBJ)の試料・情報を利用した研究の成果論文が国際科学誌Science Advancesに掲載されました。
理化学研究所の寺尾知可史チームリーダー、東京大学医科学研究所の松田浩一特任教授(バイオバンク・ジャパン(BBJ)代表)らの共同研究グループは、 BBJが提供した3,256人分の日本人の全ゲノムシークエンス(WGS)[1]のデータを分析しました。その結果、日本人の祖先に関わる三つの源流(縄文系祖先、関西系祖先、東北系祖先)の起源を明らかにしました。さらに、現生人類(ホモ・サピエンス)の最も近縁とされる古代型人類であるネアンデルタール人[2]およびデニソワ人[3] から受け継いだ遺伝子領域と病気の関連性、そして自然選択 が影響を及ぼしている領域を複数発見しました。
本研究成果は、日本人集団の遺伝的特徴や起源の理解を深め、さらにそれらは個別化医療[4]や創薬研究の基盤となることが期待されます。
<原著論文>
DOI: 10.1126/sciadv. adi8419
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adi8419
<プレスリリース本文(PDF)>
https://biobankjp.org/wp/wp-content/uploads/2024/04/000009429.pdf
詳しくは、東京大学医科学研究所からのプレスリリース記事をお読みください。
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00280.html
[1] 全ゲノムシークエンス(WGS):マイクロアレイとは異なり、全ゲノム領域でDNAシークエンスを行い、遺伝子配列を決定する技術。マイクロアレイでは捉えることが難しい頻度の低いSNPの検出などに有用である。次世代シークエンサーの登場と改良により、シークエンスの精度改善とコスト低下が進んでおり、今後さらに需要が高まることが期待される。WGSはWhole Genome Sequenceの略。
[2] ネアンデルタール人:ホモサピエンスとの共通祖先から分離した別系統の人類と考えられている。
[3] デニソワ人:ネアンデルタール人の兄弟種である可能性が高いが、現生人類とネアンデルタール人の混血によって生まれたのではないかという議論もある。
[4] 個別化医療:一人一人の体質・病気のタイプに合わせた治療を行うこと。例えば、体質・病気に関連している遺伝子を詳細に調べた上で治療を行う。