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2025.6.19
ニュースプレスリリース
バイオバンク・ジャパン(BBJ)の試料・情報を利用した研究の成果論文が医学雑誌『Blood Cancer Discovery』に掲載されました。
理化学研究所生命医科学研究センターの碓井喜明基礎科学特別研究員、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻の松田浩一教授らの共同研究グループは、BBJの登録者約14万人のDNAを使って、TP53遺伝子[1]変異を伴うクローン性造血について世界最大規模の評価を行い、その特徴や臨床的意義を明らかにしました。また、約10年間の追跡調査の情報を用いた解析により、TP53遺伝子変異を伴うクローン性造血が血液のがんである骨髄系腫瘍やリンパ系腫瘍に加え、呼吸器疾患で死亡するリスクも上昇させることが示されました。さらに、それらのリスクは特定の遺伝要因や環境要因が組み合わさった場合に影響が異なることも明らかになりました。
本研究成果は、疾患のメカニズムの解明やクローン性造血に基づく病気の見通しの評価などに貢献すると期待できます。
Clinical Significance of TP53-Mutant Clonal Hematopoiesis Across Diseases
Blood Cancer Discov. 2025 Jun 17:OF1-OF9.
https://www.riken.jp/press/2025/20250617_2/index.html
[1]TP53遺伝子 ヒトがんにおいて最も変異頻度の高い遺伝子の一つ。TP53の遺伝子産物p53は、細胞内においてDNA修復や細胞周期の停止、アポトーシス(プログラムされた細胞死)などの細胞増殖サイクルの抑制を制御する機能を持つ