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2024.6.11
ニュースプレスリリース
バイオバンク・ジャパン(BBJ)の試料・情報を利用した研究の成果論文が、国際科学誌Nature Geneticsに掲載されました。
大阪大学の小嶋崇史さん(博士課程学生他)、東京大学の岡田随象教授らの研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)および英国のUK バイオバンク(UKBB)の研究協力者である2型糖尿病患者5.5万人と非糖尿病群14万人のゲノムデータについて、肥満・やせの程度を示す体格指数(BMI)の高い群と低い群に分けて、遺伝的な要因による2型糖尿病の発症リスクを反映するポリジェニック・リスク・スコア(PRS)の予測精度への影響を調べました。
その結果、BMIが低い群においてPRSの予測精度がより高いことが判明しました。BMI が高い群と低い群それぞれで糖尿病の遺伝率を算出したところ、BMI が低い群において遺伝率が高く、これがPRS予測にも影響していることが分かりました。また、膵臓からのインスリン分泌不全に関わる遺伝子群が、BMIが低い群における2型糖尿病の遺伝的予測精度の高さに影響を与えていることを突き止めました。
さらに、BBJの第2コホートと東北メディカル・メガバンク計画の2型糖尿病患者1.7万人と対照群4.2万人を対象に再現性の検証を行い、BMI25 以下の集団で遺伝的予測精度が高い傾向が確認されました。PRS予測のようなたくさんのゲノム情報が必要な解析では、国内のバイオバンクが連携して研究を行う必要があることが示されました。
本研究成果は、2型糖尿病の遺伝的リスクの予測に関する課題を解決する糸口を示し、将来的に、糖尿病や合併症の予防に関する個別化医療、個別化予防に貢献することが期待されます。
<原著論文>
https://www.nature.com/articles/s41588-024-01782-y
詳しくは、大阪大学からのプレスリリース記事をお読みください。