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2024.7.17
ニュースプレスリリース
バイオバンク・ジャパン(BBJ)の試料・情報を利用した研究の成果論文が国際科学誌Ophthalmologyに掲載されました。
九州大学の秋山雅人講師、東京大学の鎌谷洋一郎教授ら研究グループは、原発開放隅角緑内障(POAG)の遺伝的なリスクを推定する手法 の開発に取り組みました。
緑内障は日本の視覚障害の原因の第一位であり、失明を防ぐためには早期発見が重要です。POAGは、緑内障の内、眼圧上昇の原因をほかの眼疾患、全身疾患、薬物などに求めることのできないもので、日本における緑内障の主要な病型(病気の種類)の一つです。同研究グループは、このPOAGの遺伝的リスクを推定する方法を開発し、東北大学が収集した患者・対照群のデータセットを用いて複数の遺伝的リスク推定法の精度を検証しました。その結果、国際コンソーシアムが報告した127の遺伝的変異のうち、バイオバンク・ジャパンの研究参加者で実施されたゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果が参照可能な98の遺伝的変異の情報を用いた推定方法が最も判別精度が高いことを確認しました。また、日本緑内障学会や日本眼科学会が収集した患者・対象群のデータセットでも同様の精度を確認したほか、久山町研究の一般住民のデータセットで検証した場合にも、遺伝的リスクが高い群では、POAGの患者が多いことや発症していなくても眼圧が高いことなどがわかりました。これらのことから、遺伝情報からPOAGの発症リスクを判定することが可能であることを示しました。
今回の研究成果により、日本人集団における原発開放隅角緑内障の発症リスクの判定が遺伝情報から可能であることが示されました。本研究成果は、一人ひとりの遺伝的な緑内障のなりやすさの違いに応じたスクリーニング検査や発症予防に役立つことが期待されます。
<原著論文>
https://www.aaojournal.org/article/S0161-6420(24)00362-2/fulltext
詳しくは九州大学からのプレスリリース記事をお読みください。
https://www.med.kyushu-u.ac.jp/news/research/detail/1643