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[プレスリリース]視神経脊髄炎スペクトラム障害に関わる遺伝子変異を発見 -生殖細胞系列変異と体細胞変異の双方が発症に関与-

2025.2.22

ニュースプレスリリース

バイオバンク・ジャパン(BBJ)の試料・情報を利用した研究の成果論文が国際科学誌Cell Genomicsに掲載されました。

大阪大学大学院医学系研究科の矢田知大さん(研究当時: 博士課程、現: 神経内科学 招へい教員)、岡田随象教授らの共同研究グループは、日本人集団における視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)[1] の発症に関連する遺伝子変異とその変異が影響を及ぼす細胞種を明らかにしました。共同研究グループは、日本多発性硬化症/視神経脊髄炎スペクトラム障害バイオバンクと協力施設から収集したNMOSDの患者さん240人と、対照群としてBBJの登録者50,578人のゲノム情報 を用いてGWASメタ解析を行いました。その結果 、NMOSD発症に関連する生殖細胞系列変異[2]と体細胞変異[3]、及びこれらの変異が遺伝子発現量に変化を及ぼす細胞種を明らかにしました。

本研究成果は、今後、細胞実験などのさらなる検証を進めることで、治療標的の同定や創薬につながることが期待されます。

原著論文

Contribution of germline and somatic mutations to risk of neuromyelitis optica spectrum disorder
Cell Genom. 2025 Feb 17:100776.

詳細は大阪大学からのプレスリリース記事をお読みください。

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2025/20250222_1


用語解説

[1] 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD: NeuroMyelitis Optica Spectrum Disorder) 自分の細胞を間違って攻撃してしまう「自己免疫疾患」のひとつで中枢神経の病気。主に、脳や脊髄、視神経に炎症が起こるのがこの病気の特徴。人によって、炎症が起こる部位が違うため、症状もさまざまある。

[2] 生殖細胞系列変異 生得的に有している遺伝子変異であり、個体の全細胞に共通して見られる。遺伝情報として子孫に受け継がれる。

[3] 体細胞変異 後天的に獲得する遺伝子変異であり、多くの場合変異を起こした一部の体細胞においてのみ見られる。原則として子孫には受け継がれない。