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[研究成果のご紹介]縄文人が現代の日本人集団に残した遺伝的影響

2024.11.12

その他(分類)研究成果のご紹介

これまで日本人集団の遺伝的起源は、先住の狩猟採集民である縄文人と弥生時代の北東アジアからの移住民と考えられてきましたが、最近の研究では、それら2つの集団に、古墳時代の東アジアからの移住民を加えた3つの集団に由来すると考えられています。しかしながら、多様な日本人集団のどれもが、3つの祖先集団からなるという説に当てはまるのか、という点については明らかにされていませんでした。

大阪大学、東京大学などの研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)を中心として集められた約25万人分の現代日本人集団のゲノム情報と、縄文人やユーラシア大陸由来の古代人のゲノム情報を用いて解析を行いました。その結果、縄文人の祖先、北東アジアの祖先、東アジアの祖先の3つの集団が、日本のどの地域の人々にも広く当てはまることがわかりました。また、縄文人の祖先の割合は、北海道の一部や琉球諸島のさまざまな集団で高いことが確認されました。さらに、個々の現代日本人が量的にどのくらい縄文人由来の遺伝子を引き継いだかということが、遺伝的背景の異なる人々がいることに影響していることも明らかとなりました。

また、個人レベルで縄文人由来の遺伝子の割合を調べ、BBJに登録されている80の特徴との関連を調べた結果、縄文人由来の遺伝子の割合がBMIの上昇に関連していることが明らかになりました。これは、縄文人から受け継がれた遺伝子が、現代の環境では肥満のリスクを高める可能性があることを示しています。

さらに、英国のUKバイオバンクが保管する東アジアに由来する集団を調べたところ、日本から離れた地域でも縄文人の祖先を持つ集団がいることが明らかになりました。その集団においても縄文人由来の遺伝子が肥満のリスクに影響している可能性が確認されました。

今回の研究から、日本人の遺伝的多様性の起源だけでなく、私たちの祖先が現代の日本人の体型や健康にどのような影響を与えているかが明らかになり、予防医療や健康増進に役立つことが期待されます。

東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00307.html

成果を発表した論文(英語)
Genetic legacy of ancient hunter-gatherer Jomon in Japanese populations

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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