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2024.12.12
がん(分類)その他(分類)研究成果のご紹介
腫瘍抑制遺伝子は、細胞の増殖を抑えたり異常を修復・排除することで、がんの発生を防ぐ「ブレーキ役」として働きます。PTEN遺伝子もその一つで、この遺伝子に生まれつきの病的バリアントがあると、高い多発性がん発症リスクを特徴とする「PTEN過誤腫症候群(PHTS)」と呼ばれる遺伝性疾患を発症するリスクが高まります。
理化学研究所、東京大学などの研究グループは、日本人集団を対象に、PTEN遺伝子のバリアントによる症状や特徴を明らかにするために、バイオバンク・ジャパンの登録者113,535人のデータから、生まれつきのPTEN遺伝子バリアントの中で稀な128種のバリアントを抽出しました。そしてそのうちの29種(30人から検出)を、国際ガイドラインに沿って「病的バリアント」と位置付け、さまざまながんの患者と非患者を対象に解析を行ったところ、PTEN遺伝子の病的バリアントが、特に子宮体がんと関連していること、また乳がんとも関連していることを確認しました。特に、若い年齢で複数のがんを持つ人でこの傾向が強く見られました。また、PTEN遺伝子に病的バリアントを持つ人に、子宮筋腫(6人)、甲状腺腫(甲状腺の肥大)(3人)、卵巣のう胞(2人)、てんかん(2人)が見られ、これらはPHTSの特徴と一致しました。さらに、成人女性では平均よりも身長・体重が高い傾向があり、「過成長症候群」というPHTSの症状の特徴にも一致しました。
これらの結果は、PTEN遺伝子の病的バリアントが日本人集団において、どのような症状と関連しているのかを示唆しており、将来の診断やスクリーニングに役立つことが期待されます。
成果を発表した論文(英語)
Cancer and disease profiles for PTEN pathogenic variants in Japanese population
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。