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[研究成果のご紹介]がん患者の放射線治療と“Y染色体モザイク喪失” の関連を初報告~順天堂大学とバイオバンク・ジャパンの大規模データから明らかに~

2025.7.29

がん(分類)研究成果のご紹介

男性では、加齢や喫煙により、細胞分裂の過程で一部の細胞でY染色体が失われることが比較的多くみられ、70代では約40%に生じるといわれています。この現象は一部の細胞のみに起こるため、正常な細胞とY染色体の喪失が生じた細胞が体内に混在(=モザイク状)する「Y染色体モザイク喪失(mLOY)」と呼ばれています。mLOYの状態は、がん、心疾患、アルツハイマー病などの発症リスクを高める要因になっていることがわかっています。このうち、がん患者ではmLOYの発生頻度が高いことが知られていましたが、それががんそのものに起因するのか、あるいは治療の影響なのかは明らかになっていませんでした。

順天堂大学などの研究グループは、順天堂医院で治療を受けた前立腺がん患者348名のDNAを解析し、治療法ごとにmLOYの状態になっている頻度を比較しました。その結果、局所放射線治療を受けた患者では、治療を受けていない患者に比べこの現象が有意に多く起こることが判明しました。さらに、バイオバンク・ジャパンに登録されている前立腺・肺・大腸・胃がん患者約3万人分のデータ解析でも同様の傾向が確認されました。

本研究成果は、がん患者におけるmLOYの発生に、放射線治療が関与していることを世界で初めて示したものです。同研究グループは、放射線治療によってゲノム不安定性が高まる可能性を指摘しており、今後は、治療の効果や予後にどのような影響を及ぼすのか解明されることが期待されます。

東京大学からのプレスリリース記事

https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00350.html

成果を報告した論文(英語)

Local radiotherapy for cancer patients is associated with mosaic loss of chromosome Y, a hallmark of male aging

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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