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2022.9.1
がん(分類)研究成果のご紹介
大腸がんでは、患者さんの約20%に親族にも大腸がんや、ほかのがんの患者さんが見られ、遺伝性の強いがんであると考えられています。大腸がんと関連の強い遺伝子の病的バリアントをもつかどうかを調べる遺伝子検査はありますが、欧米系集団のデータを基にしているため、日本人のデータに基づいた解析が必要とされていました。
理化学研究所、東京大学などの研究グループは、バイオバンク・ジャパンが集めた大腸がんの患者さん12,503人と大腸がんではない23,705人の血液からのDNAを解析しました。これは世界最大規模となります。その結果、397の遺伝子の配列の個人差(バリアント)が大腸がんに関連する病的バリアントであることが推測されました。これらの病的バリアントを大腸がんの患者さんと患者でない人はどのくらいの割合でもつのかを見たところ、それぞれ3.3%、1.6%で、病的バリアントをもつと大腸がんへのなりやすさが約2.2倍になることがわかりました。
今回の397の病的バリアントのうち199個は、国際的データベースに登録がなく日本人に特有の病的バリアントである可能性があります。個々の遺伝子を見ると8つが日本人での大腸がんの発症に関連することがわかりました。また、大腸がんと診断された年齢が若い人ほど、病的バリアントをもつ割合も高くなっていました(下図)。
この研究成果は、日本人の遺伝性大腸がんの診断および患者さん一人ひとりに合った治療を行う「ゲノム医療」に貢献すると期待できます。
東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00194.html
成果を発表した論文(英語)
https://www.cghjournal.org/article/S1542-3565(20)31664-5/fulltext
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。