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[研究成果のご紹介]高血圧の薬剤抵抗性に関わる遺伝的背景

2023.8.1

心疾患・脳血管疾患(分類)研究成果のご紹介

高血圧の中でも、作用の異なる3剤の降圧剤を適切に使用しても、目標血圧まで下がらない症例は治療抵抗性高血圧と言われ、脳卒中や心筋梗塞、腎不全などの合併症のリスクが高くなることが知られています。

日本大学、理化学研究所などの研究グループは、治療抵抗性高血圧のメカニズムを明らかにするため、バイオバンク・ジャパン(BBJ)の研究参加者から、連続して1年以上同じカテゴリーの降圧剤を処方されている患者を抽出し、さらに単剤処方の群、3剤以上処方されている群を抽出し、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。その結果、降圧剤の薬剤抵抗性に関わる遺伝領域を新たに見つけました。降圧剤の種類により薬剤抵抗性に関係する領域は異なりますが、どの領域も血圧や高血圧にも関係があることがわかりました。

さらに、研究グループはBBJの研究参加者の血圧と遺伝の関係を調べたGWASの結果と併せて、遺伝子セット解析も行いました。これらの解析から、①降圧剤抵抗性に関わる遺伝領域は薬剤ごとに異なること、②各薬剤が標的とするメカニズムの違いが複雑に絡み合って高血圧や降圧剤抵抗性を発症していることが示唆されました。

遺伝的背景を調べることで、個人の体質にあった降圧剤の処方や、治療抵抗性高血圧のメカニズム解明につながると期待されます。

千葉大学によるプレスリリース
https://www.m.chiba-u.ac.jp/dept/pubheal/news/230507/

成果を発表した論文(英語)
https://ascpt.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cpt.2934

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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