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[研究成果のご紹介]クローン性造血の血液がん発症や心血管疾患発症リスク上昇への影響を解明 ―遺伝子変異とコピー数異常の統合的な知見―

2021.7.8

がん(分類)研究成果のご紹介

血液のもととなる造血幹細胞に何らかの異変が生じ、それが正常な造血幹細胞よりも増えやすくなるために、異変のある血液細胞が多くなることがあります。「クローン性造血」と呼ばれる状態で、健康ではありますが血液がんに進行する確率が高い「前がん病変」の状態です。高齢者には比較的多く見られます。これまで、造血幹細胞に生じる異変には「遺伝子の変化」と、染色体の一部が欠損したり重複したりして、遺伝子の数が増減する「コピー数異常」の2つが知られていましたが、別々に研究されてきました。また、クローン性造血は血液がんだけでなく、心筋梗塞のような心血管疾患のリクスを高めることも報告されており、この病変の理解が課題になっています。

京都大学、理化学研究所などの共同研究グループは、クローン性造血における遺伝子の変化とコピー数異常の関係性を調べるため、バイオバンク・ジャパン(BBJ)に登録された約1万人の研究協力者について複数のデータを統合的に解析しました。その結果、クローン性造血では遺伝子の変化とコピー数異常が高い頻度で共存することそして、両者が共存すると血液がんと心血管疾患のリスクが上昇することなどがわかりました。

今回の研究結果は、血液がんの成り立ちを理解するための手がかりとなるのみならず、クローン性造血の進行の予測や治療の見通しを立てるうえで重要な指標となることが期待されます。

京都大学によるプレスリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-07-09-1

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41591-021-01411-9

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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