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2022.6.1
がん(分類)研究成果のご紹介
がんは、遺伝と環境の両要因により発症すると考えられていますが、一部のがんはゲノム配列上のたった1カ所の配列の違いにより発症リスクが大きく上昇することが知られています。その原因遺伝子としてBRCA1・BRCA2の2つの遺伝子(BRCA1/2遺伝子)があり、これらの遺伝子に病的バリアントが存在すると、乳がんは約10倍、卵巣がんは数十倍ほど発症しやすくなります。
理化学研究所、愛知県がんセンターなどの研究グループは、バイオバンク・ジャパンの研究参加者のデータ(14種類のがん)について、がん患者とがん患者ではない人たちの合計10万人以上を対象として、世界最大規模のがん種横断的ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。その結果、BRCA1/2遺伝子はすでに関連が知られている乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がんに加えて、特に東アジアに多い胃がん、食道がん、胆道がんの発症リスクも上昇させることを明らかにしました。
今回の研究成果により、BRCA1/2遺伝子に病的バリアントを持つ患者に対して、従来から知られていた4種類のがんだけでなく新たに明らかになった3種類のがんについても、早期発見スクリーニングの実施や、個別化医療がより幅広い形で進展することが期待されます。
東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00165.html
成果を発表した論文(英語)
Expansion of Cancer Risk Profile for BRCA1 and BRCA2 Pathogenic Variants
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。