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[研究成果のご紹介]ステロイド剤を服用する全身性エリテマトーデス患者に見られる大腿骨頭壊死症の原因遺伝子を特定 -病気の理解への重要な一歩に-

2022.3.31

研究成果のご紹介骨・結合組織疾患(分類)

免疫の働きや炎症を抑えるステロイド剤を飲み薬として長く使用している患者のなかには「特発性大腿骨頭壊死症」を発症する人がいます。これは、太ももの骨の骨盤の側の先端部分(大腿骨頭)で、何らかの理由で血流が止まり、骨が壊れて死んでしまう病気です。初期は無症状ですが、進行するにしたがって骨頭に圧力がかかって壊れ、股関節に痛みが生じます。ひとたび痛みが出始めてしまうと、根本的な治療は手術しかなく、病気の仕組みを明らかにすることや、予防法、治療薬の開発が待ち望まれています。

特発性大腿骨頭壊死症の原因は明らかになっていませんが、過去の研究から、ステロイドの服用とお酒をたくさん飲むことが関係していることがわかっています。そのうち、ステロイドの服用に関わる特発性大腿骨頭壊死症を「ステロイド関連大腿骨頭壊死症」といいます。ステロイドと大腿骨頭壊死の因果関係は不明で、ステロイドを服用している人でも大腿骨頭が壊れてしまう人とそうならない人がおり、その違いは遺伝的要因によると考えられています。

理化学研究所、福岡大学などの研究グループは、長期にわたってステロイドを服用する患者が多いとされる自己免疫疾患の全身性エリテマトーデスを対象とし、日本と韓国の約13万人の遺伝情報を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、病気が起こることに関係している染色体の部分を新たに3カ所特定しました。そのうちの1カ所は脂質の代謝に、別の1カ所は血管での活動に関わっていて、それが特発性大腿骨頭壊死症の原因に関係している可能性があることがわかりました。

今回の研究成果により、全身性エリテマトーデスの患者に見られるステロイドによる大腿骨頭壊死症の病気の仕組みを明らかにし、新しい治療法を見つけることが期待されます。

理化学研究所によるプレスリリース
https://www.riken.jp/press/2021/20211201_1/index.html

成果を発表した論文(英語)
Novel susceptibility loci for steroid-associated osteonecrosis of the femoral head in systemic lupus erythematosus

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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