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[研究成果のご紹介]日本人に多いタイプの白血病発症メカニズムの解明へ-バイオバンク・ジャパンデータベースの活用による成果-

2020.8.1

その他研究成果のご紹介

細胞が分裂するときには、染色体の本数がいったん倍になり、分裂後の2つの細胞に等分に分配されます。けれども、分配がうまくいかず、さらにそうした細胞が残ってしまうことがあります。こうした後天的に生じた染色体レベルでの大きな変異のある細胞とそうでない細胞が身体のなかで混在している状態を「体細胞モザイク」と呼びます。とくに高齢者では体細胞モザイクがよく見られますが、これが健康にどう影響するのかはわかっていませんでした。

アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校などの国際共同研究グループは、バイオバンク・ジャパンに登録された約18万人分のDNAデータを分析し、体細胞モザイクを探しました。年齢を重ねるにともない体細胞モザイクをもつ人の割合は増え、90歳以上では約35%に達していること、体細胞モザイクが白血病などのがん化メカニズムにかかわっていることがわかりました。

さらに、染色体のどの部分を失っているかを細胞レベルで調べ、UKバイオバンクのデータと比較したところ、日本人と欧州系集団では違いがあることがわかりました。これまでの研究から、日本人と欧州系集団では、なりやすい白血病のタイプに違いがあることが知られています。今回の成果は、日本人に多いタイプの白血病の発症メカニズム解明などにつながると期待されます。

東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00088.html

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2426-2

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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