News
ニュース
2024.7.3
心疾患・脳血管疾患(分類)研究成果のご紹介
高血圧は食習慣などの要因と遺伝要因の両方がかかわっており、遺伝要因も非常に多くの遺伝子がかかわっていることが知られています。約1万人の日本人を対象とした追跡調査研究から、遺伝的リスクの高い人は心血管疾患による死亡リスクが高いこと、その一方で、禁煙やお酒・塩分を控えるといった生活習慣の改善による予防効果も大きいことがわかりました。
藤田医科大学、名古屋大学などの研究グループによる成果で、日本の14のさまざまな地域の病院で参加登録をした、登録時には高血圧ではなかった9,296人のデータを解析した結果です。追跡調査期間中に心血管疾患で他界した人は41人、さまざまな死因で亡くなった人は273人でした。心血管疾患の死亡リスクを分析するために、バイオバンク・ジャパン登録者の統計解析の結果を使用して、個々人の遺伝的リスクを示すポリジェニック・リスク・スコア(PRS)を作成しました。PRSとの関連を調べたところ、収縮期血圧のPRSが上位10%となるグループはPRSが中程度(20〜80%)のグループに比べて心血管疾患による死亡リスクが約3.67倍、拡張期血圧のPRSでも約2.92倍になることがわかりました。一方で、タバコを吸わない、お酒や塩分摂取の量を抑えるといった生活習慣による改善効果もPRSの高いグループではより大きいことがわかりました。
この結果は、遺伝的なデータと生活習慣のデータを組み合わせることで、心血管疾患による死亡リスクをより効果的に下げることのできる人たちを特定することにつながると期待されます。
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。