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[研究成果のご紹介]慢性腎臓病での性差をX染色体の解析から解く

2024.1.18

その他(分類)研究成果のご紹介

男性はX染色体とY染色体を1本ずつ、女性はX染色体を2本もっています。これまで、X染色体上の遺伝子の変化は十分に研究されてきませんでしたが、疾患のリスクやそのメカニズムに男女差に影響を与えている可能性があります。ドイツのライプツィヒ大学などの国際共同研究グループは、有病率や進行の速さに男女差があることが知られている慢性腎臓病に注目し、X染色体の遺伝子を詳細に調べました。

研究グループは、最大908,697人(最大で757,070人の欧州系、152,793人のアジア系、26,371人のアフリカ系)を対象とした40件の研究成果を統合してX染色体の解析を行いました。その結果、腎機能の指標となる尿酸値にかかわる遺伝子の変化が7個、推定糸球体濾過率にかかわる遺伝子の変化が16個見つかりました。これらの中には、男性や女性のどちらか一方でのみ腎機能との関連性が見られる遺伝子の変化や、どちらか一方の性別で他方よりもより強いかかわりが見られるものもありました。これらの性差と関連する変化の見つかった遺伝子には、男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体に関する配列に隣接したものがありました。この研究は慢性腎臓病での男女差の解明につながると期待されます。

成果を発表した論文(英語)
X-chromosome and kidney function: evidence from a multi-trait genetic analysis of 908,697 individuals reveals sex-specific and sex-differential findings in genes regulated by androgen response elements

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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