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2025.7.28
その他(分類)研究成果のご紹介
免疫細胞は種類が多いうえに、そのときの状態によって働いている遺伝子が異なります。また、一人ひとりの遺伝的要因や環境的要因によっても免疫の働き具合は変わってきます。大阪大学などの研究グループは、血液中のリンパ球、単球、樹状細胞といった免疫にかかわる合計150万個の細胞を集め、細胞1つひとつのレベルでどの遺伝子がはたらいているのかを調べました。合わせて、個々人の持って生まれた遺伝的要因、血液中のタンパク質や腸内細菌も調べ、「免疫細胞シングルセルアトラス(OASIS)」として公開しました。
OASISの構築に使ったのは、日本人の新型コロナウイルス感染症の患者88人と健康な人147人から提供された試料です。これまでの研究では、たくさんの細胞をまとめて調べていたため、個々の細胞の状態による違いを知ることはできませんでした。また、先行研究の多くが欧州系集団を対象にしており、日本人にそのまま当てはまるかどうかは不明でした。
OASISのデータを使った解析から、たとえば免疫細胞の遺伝子から作られるタンパク質の量に、腸内細菌の状態や、年齢によって自然に生じる遺伝子の変化の蓄積が影響していることがわかりました。
OASISは、免疫細胞の種類や細胞の状態ごとに、どんな遺伝子がどれだけ働いているかを明確にし、それに個々人の遺伝的要因、腸内細菌、加齢などが複雑に影響を及ぼしていることを研究できるようにしました。この成果は、一人ひとりで免疫の働き方が異なる理由の解明につながり、将来の個別化医療に向けた研究基盤になると期待されます。

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成果を発表した論文(英語)
Deciphering state-dependent immune features from multi-layer omics data at single-cell resolution
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。