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[研究成果のご紹介]40歳以下で発症する肺腺がんの特徴が明らかに

2025.6.15

がん(分類)研究成果のご紹介

肺がんは、一般的に喫煙などの生活習慣が大きく関係することが知られています。しかし、肺がんのなかで最も多い肺腺がんは、非喫煙者が約半分を占めていて、喫煙以外の原因があるのではないかと考えられてきました。また、40歳以下で肺腺がんになる人は、肺がん患者全体の1%未満ですが、進行した状態で見つかることが多く、治療が難しいことが知られています。

国立がん研究センター、愛知県がんセンターなどの研究グループは、日本人の肺腺がん患者で、40歳以下で発症した348人、それ以上の年齢で発症した1,425人の血液の細胞から得られたゲノム情報を使って大規模解析を行いました。その結果、40歳以下で発症した人では、TP53という遺伝子やBRCA2という遺伝子に生まれつき変化を持つ人が多いことがわかりました。変化のタイプは人によってさまざまでしたが、TP53遺伝子での変化には幼い頃からさまざまながんを発症しやすくなるものがあること、BRCA2遺伝子での変化には遺伝性乳がん・卵巣がんの原因となるものがあることが知られています。

次に、生殖細胞系列変異がある患者の体細胞変異を調べたところ、BRCA2遺伝子に異常がある人の一部に、DNAを修復する仕組みの不具合が確認されました。乳がんや卵巣がんでは、BRCA2遺伝子の異常がある場合、PARP阻害剤というタイプの薬が治療に有効であるとわかっています。今回、BRCA2遺伝子に異常がある肺腺がん患者にも、この薬が効く可能性があることが示されました。

また、がん組織に生じている変化を詳しく調べたところ、40歳以下で発症した人のがん組織からは2つの遺伝子が融合したALK融合遺伝子やRET融合遺伝子が多く見つかりました。どちらもがんの原因として知られていますが、それぞれ有効な薬が開発されています。

さらに、40歳以下で発症した人の生殖細胞系列変異を調べるため、肺がん患者10,302人と、がんを発症していない7,898人を対象に、生まれつきの遺伝子異常で起こるがんや、DNAを修復する仕組みに関係する450個の遺伝子の解析を行いました。その結果、DNAを修復する働きを持つALKBH2という遺伝子に異常があると、若い人の肺腺がんのリスクが高くなることが明らかになりました。

今回の研究では、若い世代の肺腺がんに遺伝的要因が関係していることが明らかになりました。今後、遺伝医学の知識を取り入れた新しいがん治療法の開発につながることが期待されます。

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成果を発表した論文(英語)
Genomic Profiles of Pathogenic and Moderate-Penetrance Germline Variants Associated With Risk of Early-Onset Lung Adenocarcinoma