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[研究成果のご紹介]大規模ゲノム解析が脳卒中のゲノム創薬と祖先集団を超えたリスク予測への道を開く

2022.9.30

心疾患・脳血管疾患(分類)研究成果のご紹介

脳卒中は世界での死因の第2位(12%)を占めるだけでなく、若いうちの死亡による損失年数、後遺症による何らかの障害とともに生きる年数を押し上げる主因になっています。先進国にも途上国にも多い疾患であることから、フランスのボルドー大学などの国際共同研究グループは、脳卒中にかかわる遺伝的リスク要因をさぐる研究を進めてきました。ゲノム解析に使われたのはバイオバンク・ジャパンをはじめ世界中のバイオバンクや病院が集めたもので、さまざまな集団を含む約250万人(うち約20万人が患者)のデータで、史上最大規模となります。

その結果、多くの集団に共通する遺伝的リスクが多数見つかりました。また、これまでヨーロッパ系集団での研究から見つかっていた遺伝的リスク因子が東アジア系集団にも当てはまることもわかりました。こうした遺伝的リスク因子は高血圧や喫煙といったと因子とは独立したリスクになっていました。脳卒中の多くは脳梗塞が引き起こしていますが、あるタイプの脳梗塞には特有の遺伝子の変化がかかわっていることもわかりました。

個々の患者さんの遺伝的因子を、疾患の予防や治療に役立てることをゲノム医療と呼んでいます。日本ではがんのゲノム医療が比較的、進んでいますが、脳卒中に関してはまだあまり進んでいません。今回の研究成果を機に、欧米で進んでいるような医療での実用に向けた研究が進むことが期待されます。

東京大学によるプレスリリース
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/9762.html

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41586-022-05165-3

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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