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病的バリアント

2024.3.14

遺伝子やその調節領域など、DNAの特定の領域の塩基配列には個人差があることがあり、それをバリアントと呼ぶ。「変異」「多型」などともいう。よく知られているのはABO式血液型を決める遺伝子で、A型、B型、O型のバリアントがある。また、Rh式血液型では、Rh+型とRh-型がある。ほとんどのバリアントは健康に大きな影響はないが、なかには疾患の発症リスクを高めるものもある。そうしたものを病的バリアントと呼ぶ。もともとは1つの遺伝子の個人差が病気の原因となる単一遺伝子疾患で使われてきた用語。

だが、近年になって、大勢の人から提供されたゲノム情報と臨床情報などが研究に使えるようになり、解析技術の進歩もあって、2型糖尿病や高血圧といった、生活習慣などの環境要因とさまざまな遺伝子が関与する遺伝要因の双方がかかわる疾患でも、発症リスクを高めるバリアントを特定できるようになってきた。これらのバリアントでも多くは、それを持つ人は持たない人に比べて発症リスクが数〜数十%程度高まるというもので、将来の発症を決定づけるものではないが、影響が大きいものについては病的バリアントと呼ぶこともある。

(Pathogenic variant)