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2024.7.17
ニュースプレスリリース
バイオバンク・ジャパン(BBJ)の試料・情報を利用した研究の成果論文が国際科学誌Nature Communicationsに掲載されました。
東京大学大学院医学系研究科の曽根原究人助教、岡田随象教授ら研究グループは、原因がわからない不育症(習慣流産)のゲノム解析を行い、発症に関わる遺伝子領域を同定しました。
同研究グループは、名古屋市立大学病院に通院する臨床的に原因が不明な不育症の女性患者1,728名を患者群、バイオバンク・ジャパン(BBJ)に登録された女性24,315名を対照群として、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施しました。その結果、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)領域[1]内のヒト白血球抗原(HLA)遺伝子[2]の遺伝子多型および、細胞接着分子であるカドヘリン11(CDH11)遺伝子が不育症の発症に関連することを明らかにしました。
今回の研究成果は、不育症の病態機序の解明に貢献し、将来的に同疾患の新たな診断法や治療法の開発に繋がることが期待されます。
<原著論文>
https://www.nature.com/articles/s41467-024-49993-5
<プレスリリース本文>
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400244372.pdf
[1] 主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex: MHC)領域:
ヒトの6 番染色体短腕に位置する、HLA 遺伝子群が多数含まれるゲノム領域。ヒトゲノム中でも特に遺伝子配列の構成が複雑な領域であり、解析に際してはゲノム上のその他の遺伝子多型と比べて特別な取り扱いを要する。
[2] ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen: HLA)遺伝子:
ヒトの白血球における血液型を規定することで生体内における自己と非自己の識別に関与し、免疫反応において重要な役割を果たす遺伝子群。HLA 遺伝子型の個人差は免疫反応の個人差に強く影響を及ぼし、自己免疫疾患やがんを始めとした多くの疾患の発症リスクに関わることが知られている。