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[研究成果のご紹介]たばこを吸わない人もかかるEGFR遺伝子変異による肺腺がん -遺伝子の違いがリスクを高めることが明らかに-

2024.11.22

がん(分類)研究成果のご紹介

肺がんは、たばこを吸うことが一番の原因とされていますが、実は肺がん患者の約4人に1人は、たばこを一度も吸ったことがない非喫煙者です。特に東アジアに住む非喫煙者の女性では、肺がんのタイプの一つである肺腺がんになる人の割合が高く、EGFRという遺伝子に変異が起きると、肺腺がんが生じやすくなることが以前から知られていました。EGFRは、細胞の表面にあるタンパク質の一種で、細胞が増えたり、古くなった細胞が自然に死んだりするのをコントロールしています。

米国国立がん研究所などの国際共同研究グループは、日本や中国、韓国など東アジアから集めた非喫煙者の女性のうち、肺腺がん患者998人と、肺腺がん患者ではない4,544人の遺伝情報を比較しました。特に生まれつき持っている遺伝子のわずかな違い(遺伝子多型)に注目し、それらの違いがどれだけ肺腺がんのリスクに関わっているかを調べました。

その結果、遺伝子のわずかな違いが多く積み重なると、EGFR遺伝子に変異が起きて生じる肺腺がんにかかる可能性が、そうでない人に比べて8.6倍も高くなることがわかりました。一方で、EGFR遺伝子に変異が生じないタイプの肺腺がんにかかるリスクは、3.5倍でした。つまり、EGFR遺伝子に変異が生じるタイプの肺腺がんは、遺伝的な要因に強く影響を受けることが示されました。

この研究成果は、たばこを吸わない人で肺腺がんのリスクが高い人を、早期に発見するための新しい検査方法の開発に役立つことが期待されます。

東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00310.html

成果を発表した論文(英語)
Polygenic Risk Score and Lung Adenocarcinoma Risk Among Never-Smokers by EGFR Mutation Status: A Brief Report

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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