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[研究成果のご紹介]「日本人での腎がん」の原因遺伝子を発見

2022.6.22

がん(分類)研究成果のご紹介

日本では年間3万人が腎がんを発症しています。そして、患者さんの約5%は遺伝性と考えられています。腎がん発症にかかわる遺伝子に関する研究は、これまで欧米のデータを使ったものがほとんどでした。

理化学研究所、国立がん研究センターなどの研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)、秋田大学、京都大学が集めた腎がん患者さん1,532人とBBJ に登録された腎がんの患者ではない5,996人のデータを解析しました。約7,500人での解析は、腎がんでは世界最大規模になります。

遺伝子にあるわずかな配列の違いをバリアント、そのうち疾患に関係するものを病的バリアントと呼んでいますが、今回の解析で東アジア系集団に特有の病的バリアントが腎がんにかかわっていることがわかりました。腎がんは淡明細胞型腎細胞がんとそうでないタイプに大別され、これらは病理組織で見分けます。東アジア系集団に特徴的な病的バリアントが見つかったのは、腎がんで多数派となる淡明細胞型腎細胞がんです。また、別のタイプ(非淡明細胞型腎細胞がん)ではこれまで関連が指摘されていなかった遺伝子(BAP1)の影響が大きいこともわかりました。

これらの結果は、日本の腎がんのゲノム医療に貢献できる知見となるだけでなく、集団や病理組織型により調べる遺伝子を決める必要性を改めて示しました。

理化学研究所によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00142.html

成果を発表した論文(英語)
https://academic.oup.com/hmg/article/31/12/1962/6492046

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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