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2023.1.19
心疾患・脳血管疾患(分類)研究成果のご紹介
心臓は、心臓の細胞自身が発する電気信号によってリズミカルに大きく収縮することで血液を全身に送り出しています。心房細動は何らかの理由で拍動が速く細かくなり、十分に血液が送り出せなくなるうえ、血栓が生じやすくなり、脳梗塞や心不全の原因となっています。心房細動は環境要因と遺伝要因の両方がかかわっているとされ、これまでにも遺伝的なリスクにかかわるDNAの領域が発見されてきましたが、見つかった配列の多くがいわゆる遺伝子ではなかったこともあり、発症につながるメカニズムは十分に解明されていませんでした。
理化学研究所、東京大学などの研究グループは、バイオバンク・ジャパンの研究参加者のデータを用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)とすでに発表されていたヨーロッパ系集団のGWASの結果をメタ解析しました。これは、世界最大規模の心房細動の集団横断的GWASとなります。その結果、心房細動にかかわる新しいゲノム上の領域を多数、見つけました。
これらの領域のはたらきを調べたところ、そのうちの1つは心房細動にかかわる遺伝子の発現を制御している因子であることもわかりました。また、GWASの結果からポリジェニック・リスク・スコアが疾患の発症年齢や一部の脳梗塞の予測、心血管死に至る予測にも有用であることがわかりました。
今後、この結果を実際の診療に応用することで、個人の病態に応じたゲノム医療の実現への貢献が期待されます。
東京大学によるプレスリリース
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/10027.html
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。