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[研究成果のご紹介]肺腺がんリスクを決める遺伝子の個人差を特定-非喫煙者の肺腺がんリスクの予測に期待-

2023.5.23

がん(分類)研究成果のご紹介

肺がんは、部位別に見たがんによる死亡数が第1位で、日本では年間に約76,000人が亡くなっています。肺がんの中でも肺腺がんは、肺がん全体の半数程度と最も発症頻度が高く、増加傾向にあります。

しかし、肺腺がんは肺がんの危険因子である喫煙との関連が比較的弱く、肺腺がんの患者の約半数は非喫煙者です。喫煙以外の危険因子が特定されていないことから、肺腺がんにかかるリスクが高い人の把握や発症予防は容易ではありません。また、肺腺がんの発症には、集団差があることも知られており、非喫煙者における発症頻度は欧米系集団よりもアジア系集団で高い傾向にあります。

アメリカのNational Cancer Instituteなどの国際共同研究グループは、日本人を含むアジア系集団の肺腺がん患者と肺がんにかかっていない人たちについて、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。その結果、アジア系集団における肺腺がんのリスクを決める28個の遺伝子の個人差(遺伝子多型)を特定し、アジア系集団には肺腺がんのリスクとなる遺伝子多型の数が欧米系集団よりも多いことがわかりました。また、アジア系集団の肺腺がん患者では、非喫煙者が肺腺がんになるリスクは、遺伝子の個人差による影響が大きいことが明らかとなりました。

今後、喫煙や飲酒、ストレスなどの環境因子と組み合わせて肺腺がんのリスクの高い群を見つけることにより、肺がんの個別化予防につながることが期待されます。

東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00245.html

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41467-023-38196-z

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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