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2022.11.1
研究成果のご紹介骨・結合組織疾患(分類)
関節リウマチは、免疫システムが誤って関節組織を攻撃してしまうことによる疾患で、多くの遺伝的要因により発症することが知られています。これまで欧米を中心にゲノムワイド関連解析(GWAS)によってリスクとなる遺伝的バリアントを特定する研究が行われてきましたが、遺伝的バリアントの分布には集団による差があるため、日本で関節リウマチのゲノム医療を実現するには、東アジア系集団を対象とした研究が必要です。
理化学研究所などの国際共同研究グループは、バイオバンク・ジャパンの研究参加者など日本人を含む東アジア系集団に加え、南アジア系、アラブ系など5つの集団を対象とした関節リウマチのGWASを過去最大規模で実施しました。その結果、関節リウマチの発症に関わる34個の遺伝的バリアントを新たに見つけました。
さらに、各集団の関節リウマチの発症リスクがどの程度予測可能かを検証するため、ポリジェニック・リスク・スコア(PRS)を計算しました。これまでの研究において東アジア系集団のPRS予測精度は欧米系集団よりも低くなることが多かったのですが、今回の研究では、東アジア系集団におけるPRS予測精度が欧米系集団と同程度であることを確認しました。
今回の研究成果により、関節リウマチの新しい治療薬の開発や、個人の遺伝情報に基づく個別化医療の発展への貢献が期待されます。
東京大学によるプレスリリース
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/9854.html
成果を発表した論文(英語)
Multi-ancestry genome-wide association analyses identify novel genetic mechanisms in rheumatoid arthritis
※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。