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[研究成果のご紹介] 2つの糖尿病合併症の早期診断用バイオマーカー候補を特定

2023.1.9

内分泌代謝疾患(分類)研究成果のご紹介

2型糖尿病は日本でも世界でも患者数が多く、患者さんの2割は糖尿病網膜症を、3〜4割は糖尿病腎症という合併症にかかります。最悪の場合、前者は失明につながり、後者は腎臓の機能低下に陥って人工透析が必要となります。どちらも生活の質に大きく影響するものの、自覚症状のないまま進行することが多く、早めに診断して治療を始めることが重要です。

大阪大学、東京大学などの研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)のデータと試料を使い、2型糖尿病の患者さんの血清に含まれる代謝産物を網羅的に解析しました。その結果、2つの合併症の両方を発症している人(141人)では、どちらも発症していない糖尿病患者さん(159人)に比べて、N – アセチルノイラミン酸という糖タンパク質の分解物など5種類の代謝産物が明らかに増加していることがわかりました。

これだけでは腎機能の低下の結果としてこれらの代謝産物が増えている可能性もあるので、腎機能の指標となる2つの既存のバイオマーカーを使って調べたところ、今回見つかった5つの物質は腎機能の低下の影響はあまり受けていないことがわかりました。N – アセチルノイラミン酸は炎症との関連性が知られています。

今回の研究成果は、2型糖尿病の合併症の早期診断用のバイオマーカーの候補を見つけただけでなく、2つの合併症がどのように進行するかの理解にもつながる可能性があります。

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s43856-022-00231-3

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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