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[研究成果のご紹介]アジア最大の患者データからCOVID-19の治療標的を発見

2022.9.1

感染症(分類)研究成果のご紹介

日本のコロナ制圧タスクフォースの研究チームは、COVID-19による重症化・死亡と個々の患者の遺伝的背景の関連を調べるために、主に第1波~第3波で集めた約2,400名分のDNAを用いて、COVID-19患者と健常者との遺伝子型を網羅的に比較するゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施しました。このような大規模解析はアジア初となります。その結果、日本のCOVID-19患者では、免疫機能に重要な役割を担うDOCK2という遺伝子領域の一塩基多型(SNP)が、65歳以下の患者の重症化リスクと関連性があることを見つけました。さらに第4波・第5波で収集した約2,400名分のDNAでも、同様の関連性を確認しました。

また、各種の機能解析の結果、DOCK2がCOVID-19の有望な治療標的となる可能性も明らかにしました。今後、DOCK2を活性化する薬剤がCOVID-19の新たな治療薬となることが期待され、新しい治療戦略につながると考えられます。

コロナ制圧タスクフォースは2020年5月に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療方法を見つけるため、感染症学、ウイルス学、分子遺伝学など、さまざまな分野の専門家が集まって形成された共同研究グループです。医療従事者からも多くの協力を得て、発足後6ヶ月で全国100以上の施設が参加するネットワークとなりました。

東京大学によるプレスリリース
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00185.html

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41586-022-05163-5

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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