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[研究成果のご紹介]子宮内膜症に関連するDNA領域を特定-ほかの痛みの併発への遺伝的根拠が明らかに-

2023.3.13

婦人科系疾患(分類)研究成果のご紹介

本来は子宮の内側表面にある子宮内膜が子宮の外にあることで生じる疾患を子宮内膜症といいます。下腹部に痛みが生じ、不妊症の原因にもなります。発生の原因はわかっていませんが、50%ほどは遺伝要因と推測され、生殖年齢の女性の5〜10%に発生すると言われています。治療法としては外科的に切除するか、ホルモン剤によって女性ホルモンの量を減らしたり、働きを止めるホルモン療法しかありません。確定診断の方法としては外科的な処置の時に病変を見るしかないため、痛みなどの症状が出てから診断が確定するまでに世界平均で7年かかるという報告もあります。

英国オックスフォード大学などの国際共同研究グループは、ヨーロッパ系と東アジア系の女性を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、子宮内膜症との関連の強い42の染色体上領域(遺伝的座位)を特定しました。このうち31は報告のなかったものです。また2つはヨーロッパ系とアジア系で結果にバラツキが出ました。

子宮内膜症の患者では偏頭痛や腰痛などほかの部分の痛みが続いたり、強くなる場合が多いことが知られています。今回の解析で見つかった遺伝的座位には、痛みの知覚や継続に係わるものもあり、医療現場の知見を裏づける結果になりました。さらに喘息や変形性関節症といった免疫にも関連した炎症性疾患、月経不順や子宮筋腫とも遺伝的な要因が共通していることもわかりました。

この成果は、子宮内膜症のより深い理解につながると期待できます。

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41588-023-01323-z

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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