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[研究成果のご紹介]虚血性心疾患に関連する新たな染色体上の領域を発見

2020.5.29

心疾患・脳血管疾患(分類)研究成果のご紹介

虚血性心疾患とは、動脈硬化や血栓によって心臓の血管が狭くなり、心臓に十分な酸素や栄養が届かなくなる状態です。このような状態で運動をしたり、ストレスを感じると、胸のあたりに痛みや圧迫感といった症状が現れることがあります。虚血性心疾患の発生率は集団によって異なり、日本では欧米に比べて低いことが知られています。この理由は、環境の違いだけでなく、遺伝も関係していると考えられます。

理化学研究所、東京大学などの研究グループは、バイオバンク・ジャパンや東北メディカル・メガバンクなどで収集された、約5万人の日本人集団の遺伝情報を使って2つのゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、それらのばらつきをなくすためにメタ解析を行いました。その結果と約34万人の欧州系集団で行われたGWASの結果をメタ解析により統合したところ、虚血性心疾患の発症に関わる新たな3か所を含む76か所の染色体上の領域が見つかりました。

さらに、日本人集団と欧州系集団で虚血性心疾患の発症に関係する臓器や組織を調べたところ、日本人集団では血圧調整や血糖値の調整などに関わる内分泌系の臓器である副腎の影響が強く、欧州系集団では脂肪組織や動脈の影響が強いことがわかりました。

今回の研究成果は、虚血性心疾患がどのように発症するかという生物学的な仕組みの解明や、遺伝的な違いによる集団ごとの影響を理解するのに役立つと期待されます。

理化学研究所によるプレスリリース
https://www.riken.jp/press/2020/20200615_1/index.html

成果を発表した論文(英語)
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCGEN.119.002670

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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