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[研究成果のご紹介]東アジア系集団の 2型糖尿病に関わる新たな遺伝子領域を発見

2020.6.1

内分泌代謝疾患(分類)研究成果のご紹介

糖尿病は、血糖値が高くなることでさまざまな臓器にダメージを与え、脳卒中や心筋梗塞、腎不全、がんなど、多くの病気を引き起こしたり悪化させたりする深刻な病気です。糖尿病には自己免疫疾患である1型と、糖尿病患者の9割以上を占めるとされる2型があります。2型糖尿病は、集団によって遺伝的な要因や病気の進行の仕方が異なるといわれており、東アジア系集団は、欧州系集団に比べて、肥満でなくても2型糖尿病になりやすいことが知られています。

アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校などの国際共同研究グループは、東アジアなどの国々の研究機関と協力して、40万人規模の東アジア系集団の遺伝情報を使ったゲノムワイド関連解析(GWAS)の大規模なメタ解析を行い、2型糖尿病の発症リスクを高める遺伝子領域を新たに61箇所発見しました。

また、この病気の遺伝的な要因として、血糖値の調節をするインスリンに関連する筋肉や脂肪などの組織や、遺伝子の働きを調整する役割を持つ短いRNA配列であるマイクロRNAが関わっている可能性が示されました。さらに、1つの遺伝子領域にある2つの異なるシグナルが、それぞれ異なる臓器で異なる遺伝子の働きに影響を与え、2型糖尿病のリスクを高める可能性が示されました。

今回の研究で得られた結果は、東アジア系集団における2型糖尿病の遺伝的な要因をより深く理解する手がかりとなり、将来的には、この病気の仕組みの解明や、新しい治療薬の開発に役立つと期待されます。

東京大学によるプレスリリース
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/20200512-1.html

成果を発表した論文(英語)
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2263-3

※[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。

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