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2024.6.20
心疾患・脳血管疾患(分類)研究成果のご紹介
狭心症は、心筋へ血液を送る冠動脈が詰まったり狭くなったりするなどして、心臓に十分な血液が届かなくなる病気です。その一種である「冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症」では、冠動脈がけいれんを起こして強く収縮してしまいます。心筋梗塞、重症の不整脈などを引き起こし、突然死をもたらすこともあります。どのように病気が進むかなどはよくわかっておらず、発症には、喫煙・飲酒などのほかに遺伝要因 の関与が指摘されています。
理化学研究所、東京大学などの研究グループは、バイオバンク・ジャパン(BBJ)に登録された約16万人のデータをもとに、世界初となる冠攣縮性狭心症についての大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。その結果、東アジア系の冠攣縮性狭心症の発症に関わる重要な疾患感受性領域(遺伝子座)を見つけました。第17染色体にあるRNF213という遺伝子のなかのバリアント です。このバリアントは、性別や年齢に関係なく冠攣縮性狭心症に関連していましたが、中でも、女性よりも男性に強く影響し、若いほど強く影響していました。さらに、長期的にフォローした情報を調べた結果、基礎疾患として冠動脈疾患がなくても、このバリアントを持っている人は、持たない人に比べて、将来的に急性心筋梗塞で死亡する割合が上がる可能性が示されました。
本研究成果は、冠攣縮性狭心症の発症メカニズムの解明や、新しい治療法や予防法の開発につながると期待されます。
理化学研究所からのプレスリリース記事
https://www.riken.jp/press/2024/20240619_1/index.html
成果を発表した論文(英語)
RNF213 Variants, Vasospastic Angina, and Risk of Fatal Myocardial Infarction
[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。