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2024.9.30
婦人科系疾患(分類)研究成果のご紹介
骨盤臓器脱は、子宮や膀胱などの骨盤内臓器が腟から出てしまう女性特有の症状で、軽症例を含めると出産経験がある女性の約4割が発症するといわれています。これまでの研究では、リスク因子として、経腟分娩、加齢、肥満、子宮摘出術などに加え、遺伝とのかかわりも指摘されていました。
琉球大学、理化学研究所などの研究グループは、沖縄バイオインフォメーションバンク(OBi)と、バイオバンク・ジャパン(BBJ)の協力者のゲノムデータを使って、アジア系集団を対象とした世界初となる骨盤臓器脱のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。分析の精度を上げるため、OBiとBBJ、それぞれのGWASの結果を統合したメタ解析が行われ、両バンク合わせて771人の骨盤臓器脱患者および、76,625人の患者ではない集団からなる大規模なデータが使われました。
その結果、11番染色体のWT1遺伝子座が、骨盤臓器脱のなりやすさに関連することがわかりました。さらに、今回の日本人集団を対象にしたデータと、過去に実施されたヨーロッパ系集団の患者と患者ではない集団のデータとを統合して解析した結果、新たに10番染色体のFGFR2という遺伝子の位置が、骨盤臓器脱のリスクと関連することがわかりました。日本人集団とヨーロッパ系集団で、多くのリスクに関わる遺伝子の位置が共通していることも確認され、両地域において共通する遺伝要因が存在する可能性が示されました。
琉球大学からのプレスリリース記事
成果を発表した論文(英語)
Genome-wide association studies for pelvic organ prolapse in the Japanese population
[研究成果のご紹介]では主に試料・情報をご提供いただいた協力者のみなさま向けに、これまでのBBJが関わる研究成果を分かりやすくご紹介しています。