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体細胞変異

2025.4.17

生まれながらの遺伝的な体質ではなく、細胞レベルで後天的に生じた遺伝情報の変化。卵子や精子などの生殖細胞やそれらになる前の細胞に生じる「生殖細胞系列変異」と区別して使う。生殖細胞系列変異とは異なり、子どもに引き継がれることはなく、その人一代限りとなる。体細胞は身体をつくりあげている細胞のうち、生殖細胞系列以外のすべての細胞のこと。
体細胞も生殖細胞系列の細胞も、数を増やすために細胞分裂をする前に遺伝情報であるDNAの複製を行う。このとき一定の確率でエラーが生じる。また、紫外線などでDNAが傷つけられることもある。いずれも修復されるが、修復しきれない場合や修復ミスが生じる場合がある。こうしたエラーなどはほとんどの場合は何の影響も起こさないが、重要な遺伝子のなかなどでこのようなエラーが残ると、まれに細胞の機能などに影響を及ぼすことがあり、それが個人の健康に関係する場合もある。
体細胞変異の場合、その変異をもった細胞が分裂・増殖するたびに遺伝情報に生じたエラーが新しくできる細胞に引き継がれる。こうなると、もともとの遺伝情報をもつ細胞集団と体細胞変異のある遺伝情報をもった細胞集団が一人の身体のなかに存在することになる。この状態を「体細胞モザイク」、あるいは単にモザイクと呼ぶ。また、何らかの理由で変異をもった細胞がその組織や臓器で優勢になったときは「クローン増殖」と呼ぶ。ときに、がんや血液系の疾患の原因となることがある。
疾患との関連で研究が進んできた経緯から「変異(mutation)」という言葉が使われることが多いが、とくに健康に悪影響を及ぼさない場合も多くあり、より一般的な意味のバリアント(variant)を使って「体細胞バリアント」と言うこともある。